陸上の世界選手権(9~10月、ドーハ)代表選考会を兼ねた日本選手権男女20キロ競歩が17日、神戸市六甲アイランド甲南大周辺コースで行われる。16日は同市内のホテルで有力選手が記者会見し、男子の優勝候補が腹のうちを探り合った。
1時間20分0秒の派遣設定記録を切り、優勝すると世界選手権に内定。重要な一戦を前に“先制口撃”を仕掛けたのは、16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)代表の松永大介(23)だった。
「いつも(大会4連覇中の高橋)英輝さんが(レースを)引っ張ってくれないんですけれど、それに加えて池田も来ちゃったので、引っ張ってくれない2人が、どういうレースするのかなって思っていますが、僕は10キロを37分台で通過して、2人をちぎりたいと思います」
それに対し、次にマイクを握った5連覇を目指す高橋英輝(26=いずれも富士通)は華麗に“スルー”。
「すごく難しいレースになってきているなって感じています。力が拮抗(きっこう)しているからこそ、他の選手に気を配っている余裕はなくなってきます。そういった状況は世界を意識するのであれば、必ず自分の力につながると思う。だからこそ、自分の歩きに集中して、明日のレースに臨みたい」
記者会見後にはそれぞれの目標タイムを問われ、松永は「周りのを聞いてから」と高橋にバトンタッチ。高橋が「なるべく遅すぎない展開がいいかなって思うので、自分の歩きやすいペースになるように集団をコントロールしたい」と切り出すと、すかさず松永が「ということは、引っ張ってくださるということなので、ついていく形で…」とツッコミを入れた。
18年アジア大会(ジャカルタ)2位で京大出身の山西利和(23=愛知製鋼)は「あまり『このタイムで』というのは決めていない。順位を狙っていく中で、結果(的に)タイムが出ていれば、それでいいかな」。前回4位の池田向希(20=東洋大)は「1時間18分切りを、1つの目標にしています」と狙いを定めた。
今大会限りで現役引退する15年世界選手権50キロ銅メダルの谷井孝行(35=自衛隊)は「自分の全力を尽くして、歯を食いしばりながらゴールしたい」とキッパリ。
女子で5連覇を狙う岡田久美子(27=ビックカメラ)も「自己記録(1時間29分40秒)を更新して、28分台に入りたい」と力強く意気込んだ。