まさに「とべ」の名にぴったりの会社に所属する。陸上男子走り高跳びで、2メートル35の日本記録を樹立した戸辺直人(26=つくばツインピークス)が20日、帰国した。成田空港で会見し、4月から日本航空(JAL)のアスリート社員となることを発表した。

戸辺は「航空会社に所属する。跳躍選手は跳ぶということで、同じイメージを持つもの。航空業界への憧れが強くあった。日本航空のロゴを胸に跳べる。うれしく思っています」と話した。名前は「戸辺」。種目は「跳ぶ」高さを競う。所属は大空を「飛ぶ」航空会社。「今更ですけど、これからも名前負けしないようにしっかりと跳んでいきたい」と笑った。練習拠点は変わらず、筑波大に置く。

戸辺は2日の世界室内ツアー第2戦(ドイツ・カールスルーエ=ドイツ)で日本記録を13年ぶりに塗り替える2メートル35をマーク。20日の最終戦(ドイツ・デュッセルドルフ)でも2メートル34の好記録で制し、同ツアーで日本選手初の総合優勝を果たした。

16年リオデジャネイロ五輪の金メダルを獲得したデレック・ドルイン(28=カナダ)の記録が2メートル38。銅メダルのボーダン・ボンダレンコ(29=ウクライナ)が2メートル33。17年世界選手権で金メダルを獲得したムタズ・エサ・バルシム(27=カタール)が2メートル35だ。戸辺の記録は室内とはいえ、オリンピック(五輪)と世界選手権を通じて、同種目で日本勢初のメダルを狙える存在となった。

昨秋から助走を6歩に固定したことや、両腕を振り上げていた踏み切りを片手に変えたことなど技術的な練習を多く積んだことを好調の要因とする。194センチの大型ジャンパーは「今の世界の立ち位置を東京オリンピックまで維持して、本番ではメダル獲得、優勝を目指して、またここから頑張っていきたい」と力を込めた。