20年東京五輪マラソン代表選考会「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」に出場する資格を、男子30人、女子14人が獲得した。

4月末まで上位2レースの平均記録などが条件の「ワイルドカード」による選出は残っているものの、国内主要大会が終了し、1つの区切りを迎えた。本紙評論家の瀬古利彦氏がMGC出場権獲得を争った一連の選考レースを振り返った。

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MGCシリーズはいろんな選手がマラソンに取り組むことが狙いだった。当初、資格者を男子で35~40人、女子で15~20人と予想したが、期待した選手はほぼきている。男子の神野大地のように失敗してもまた挑戦する選手も出たし、資格をとった選手が思い切ったレースをする例もあった。トップの強化だけでなく、底上げにもつながった。一方で女子に大迫傑、設楽悠太のような存在感がある選手がまだいないのは少し残念。松田瑞生にもう一段階上の記録があれば、と思う。

うれしい誤算は、レースで優勝する選手が出てきたことだ。昨年11月福岡国際の服部勇馬しかり、昨春ボストンの川内優輝しかり。海外勢と戦える可能性を示した。東京五輪という目標、日本記録の報奨金1億円などで、マラソン界としての盛り上がりも出てきた。今後も選手をやる気にさせるシステムを考えていきたい。

MGCや五輪はペースメーカーがつかない。今後は勝ち方を覚えることが重要。タイムは海外勢にまだ及ばないが、東京五輪は地元の利がある。日本特有の蒸し暑さ。1年前に東京でMGCを走ることは大きなアドバンテージになるはずだ。(日刊スポーツ評論家)