天候や気温に恵まれた上に、選手から「負けない」「絶対MGCに行く」という熱が伝わる面白い内容だった。福士選手は短い準備期間で上手にまとめ、衰えを感じなかった。大阪国際は(16年)リオ五輪以来のマラソンで少し硬かった。たらればになるが、棄権したことも、緊張がほぐれて良かったのかもしれない。

MGCは外国人とペースメーカーなし。福士選手はぜひ、主導権を握ってほしい。前から私も「トラックの時のように積極的にいかないと、もったいないよ」と彼女に言っていた。主導権がないと惑わされ、本来のペースやリズムをつかめずに落ちていってしまう。

MGC出場権があった岩出選手は、怖いものなしで自分の限界を試せた。(出場権確保優先で第2集団から組み立てた)前田選手も30キロでペースメーカーが離れてから元気になった。最近、火花を散らすレースが少なくなってきた気がしていたけれど、このピリピリ感が東京五輪につながる。これからは距離と質を上げた練習が大事になる。故障を恐れてはいけないし、MGCの先に五輪がある。けん制し合うだけのレースは面白くないし、タイムありきで走ってほしい。(04年アテネ五輪金メダリスト)