男子マラソンの川内優輝(32=あいおいニッセイ同和損保)が大手スポーツメーカーのアシックス社とアドバイザリースタッフ契約を結び、2日、都内であった会見に出席した。

公務員を辞め、4月から陸上を最優先する生活に。ただ目指すは“倹約系”プロランナーだ。新たに専属のトレーナー、栄養士、マネジャーと契約するつもりはない。こう理由を説明する。

「チームを組むと、人件費が大変ですから。プロになる人は、人件費が大変になって、数年で立ち行かなくなることがある。私は長くやっていきたい。1人でフリーでやった方がいい。トレーナーさん、栄養士さんを養わないといけないということは、その家族も養わないといけない。そうなると何十人も養わないといけない。それは無理。長年稼げない。自分と家族ぐらいなら。陸上はお金がかからないですから」。

32歳。一般的にはベテランと呼ばれる年齢で、公務員という安定した立場を捨てた。プロとなり、「自身初の2時間7分台」、「19年世界選手権入賞」、「21年世界選手権メダル」など多くの目標があるが、その根幹には息の長いプロランナーでいることがある。

ボストンマラソン優勝からの凱旋(がいせん)帰国の空港でプロ転向を発表した。代理人も家族も驚く電撃的宣言だったが、そのプロでの道筋は、はっきり描いている。