陸上のダイヤモンドリーグ開幕戦のドーハ2019が3日、カタールの首都ドーハで開催される。最終戦のチューリヒ大会が9月6日。今年は世界陸上が通常の8月ではなく9~10月開催のため、ダイヤモンドリーグ全体が前哨戦と位置づけられる。

初戦のドーハ大会には昨年のダイヤモンドリーグ優勝者7人、シーズン世界最高記録を出した選手が9人が出場する。日本からは男子棒高跳びに山本聖途(27=トヨタ自動車)がエントリーしている。

女子200メートルに出場するディナ・アッシャー・スミス(23=英国)への注目度、期待度が高い。昨年のヨーロッパ選手権で100メートル、200メートルの2冠を達成。ともに英国新記録の10秒85と21秒89で、200メートルはシーズン世界最高記録だった。

アッシャー・スミスは4月30日の会見で「今年最初のビッグレースになります。できるだけ速く走りたい」と意気込み、ロンドンとの気象条件の違いも歓迎していると付け加えた。シーズン初戦から22秒を切ったら、かなりの好タイムだ。

五輪&世界陸上が行われなかった昨年は、ダイヤモンドリーグがシーズンで最大のタイトルだった。そのダイヤモンドリーグ優勝と、シーズン世界最高記録を達成した3選手がドーハ大会にエントリーした。

男子800メートルのエマヌエル・キプクルイ・コリル(23=ケニア)、同1500メートルのティモシー・チェルイヨット(23=ケニア)、同砲丸投げのトーマス・ウォルシュ(27=ニュージーランド)だ。

砲丸投がレベルの高い争いになりそうだ。ウォルシュが昨年出した22メートル67は当時の世界歴代6位タイ、21世紀に入ってからの世界最高記録だったが、今年4月にライアン・クルーザー(26=米国)が22メートル74と世界歴代6位を塗り替えた。

ウォルシュが17年のロンドン世界陸上の金メダリストで、クルーザーが16年リオ五輪金メダリスト。男子砲丸投は開幕戦からいきなりヒートアップしそうだ。

男子棒高跳びに出場する山本は昨年のアジア大会金メダリストだが、4月のアジア選手権では不振で5メートル51の7位。昨年11月から両ひざに軽い痛みがあり、「走り込みが足りていない」ことが原因だった。現在はまだ、「冬期練習をやっている感じ」のトレーニング・プロセスだという。

それでも試合に出ること自体が好きな山本は、結果が悪いことを恐れずに出場する。世界のトップ選手と試合を行うなかでしか気づけないこともある。

優勝争いは6メートル00が自己記録で17年世界陸上金メダリストのサム・ケンドリクス(26=米国)、昨年5メートル94を跳んだピョートル・リセク(26=ポーランド)らが中心になる。リオ五輪金メダリストのティアゴ・ブラス(25=ブラジル)の復活もあるかもしれない。

彼らの跳躍を間近で見て、山本が何を学ぶか。

 

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。