陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が日本人2人目となる9秒台をマークした。決勝で9秒99(追い風1・8メートル)。

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サニブラウンは明らかにスタートの技術が向上した。大きく遅れることもない。今季序盤は首を下げ、深く前傾というザ・アメリカ型のスタートの形だった。ただ3月に60メートルの日本タイ記録を出した頃から、無理をせず自然に立ち上がって疾走に移り、後半のスピードが出る形を模索し、完成しつつあるように見える。

17年世界選手権も今思えば、まだ18歳だった。前は上体を揺らしながら走るイメージがあったが、体をしっかり作り上げている。股関節も開き、ストライドは伸び、ピッチも落ちない。スプリンターとして技術的トレーニングも重ね、今はすべてが成長している。

ピークも6月の全米学生選手権、日本選手権に持ってくる。気温約15度の中での9秒台。これからより暖かくなって体がシャープに動き出し、いい条件もそろえば、驚きの記録が出るのではないかと思う。(男子100メートル前日本記録保持者)