陸上男子100メートルのサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が決勝で9秒97(追い風0・8メートル)の日本新記録を樹立した。

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2年ぶり2度目の日本選手権2冠を狙うサニブラウンが1年半ぶりに戻る日本で楽しみにしていることがある。「とりあえず牛丼が食べたいですね。あと海鮮丼、うどん、そばも食べたいです。コンビニも温泉も行きたいです」。普段はフロリダ大の食堂がメイン。食堂が閉まっている休日は自炊し、周囲に唐揚げを振る舞うこともあるが、やはり日本食が恋しいようだ。帰国すれば、大きな注目を浴びることは間違いない。「こっちは自由でノビノビしているので、2週間ぐらい“わちゃわちゃ”されてもいいかな」と笑う。

日本が恋しくなっても、競技レベルの高い米国に進学したことに「日本では、こういう体験はめったにできない。こっちに来てよかった」と言い切る。全米大学体育協会は「学業優先」を掲げる。語学の壁から留学を諦める選手も多いが、サニブラウンは言う。「学校のシステム、サポートもしっかりしている。英語ができる、できないにかかわらずコーチもしっかり話も聞いてくれる」。記録をどんどん塗り替えていくことで、日本の高校生の進路も、変えていくことになるかもしれない。