男子100メートルで9秒97の日本記録を持つサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が10秒02で2年ぶり2度目の優勝を飾った。湿度88%と記録が出にくい重い空気に、向かい風0・3メートルの悪条件下、大会記録を0秒03更新。向かい風での日本人最高記録でもあった。

サニブラウンはデータ上でも明らかに進化を遂げている。日本陸連の科学委員会の分析によると、この日の最高速度は秒速11メートル57だった。2年前に10秒05(追い風0・6メートル)で初優勝した日本選手権は、毎秒11メートル52だった。

それだけでない。2年前から歩数は44・7→44・1。ストライド(歩幅)は2メートル46→2メートル51だった。条件も悪くなった中、数字で証明された。1秒当たりの歩数のピッチだけは4・68→4・62と数字を落としたが、それもわずか。総合的に見れば、記録が上がるのは必然だ。

昨年5月には右脚付け根を痛め、約3カ月間、走れない時期もあったが、体幹を鍛え、左右のバランスも整えた。けがの苦闘も経て、力をつけた今がある。