男子100メートルはクリスチャン・コールマン(23=米国)が9秒81の今季世界最高記録で優勝した。その他にも男子砲丸投げのダーレン・ロマニ(28=ブラジル)の22メートル61、女子3000メートル障害のベアトリス・チェプコエチ(27=ケニア)の8分55秒58など、男子100メートルも含め7種目で今季世界最高が誕生する盛況だった。

女子800メートルは、国際陸連から男性ホルモンのテストステロン値が高い女子選手の出場資格を制限する新規定が打ち出されていることで、渦中の選手となっているキャスター・セメンヤ(南アフリカ)が1分55秒70で圧勝した。

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男子100メートルはコールマンが得意のスタートでリードを奪い、向かい風(0・1メートル)ではあったが、自身が持っていた今季世界最高を0・04秒更新した。37歳のジャスティンン・ガトリン(37=米国)が9秒87で2位に入り、日本の短距離関係者からも驚きの声が上がった。

コールマンは「ホームの土地で走るといつも結果が良いんだ」と話した。

「僕はただ競い合って勝とうとしただけだけど、ライバルたちが明らかに強くなっている。だから僕も、より速く走らなければいけない。秋の世界陸上で金メダルを取るには、かなり良いトレーニングをしていかないと」

2試合連続今季世界最高を出したコールマンだが、気を引き締めていた。

男子砲丸投げが、2選手が22メートルを超えるハイレベルの投げ合いになった。16年リオ五輪金メダリストのライアン・クルーザー(26=米国)が1回目に22メートル17でリードしたが、ロマニが3回目に22メートル46の南米新記録を投げて逆転。ロマニは4回目に22メートル55、5回目に22メートル61と南米新を連発して優勝した。

南米の投てき種目はレベルが高くなかったが、ロマニは地元のリオ五輪を目標にブラジル記録を14年、15年と更新した。リオ五輪ではブラジル選手初の21メートル超えとなる21メートル02で5位に入賞。17年に南米新の21メートル82、昨年のプレフォンテーン・クラシックで21メートル95と記録を伸ばしていた。

ロマニが9月開幕のドーハ世界陸上金メダル候補に躍り出た。

◆今季の男子100メートル 前半に強いコールマンと、後半に強いノア・ライルズ(21=米国)が現時点では2強といえる。

ダイヤモンドリーグ上海大会(5月18日)が唯一の直接対決で、9秒86の同記録だったがライルズがわずかに先着した。だが上海で2人が出した今季世界最高を、コールマンがダイヤモンドリーグ・オスロ大会で9秒85、スタンフォード大会で9秒81と更新している。

ディバイン・オドゥドゥル(22=ナイジェリア)はダイヤモンドリーグには参戦していないが、全米学生に9秒86で優勝するなど急成長を見せている。12年ロンドン五輪銀メダルのヨハン・ブレーク(29=ジャマイカ)は、9秒96でジャマイカ選手権を制し復調の兆しを見せた。

全米学生3位で9秒97の日本新を出したサニブラウン・アブデル・ハキーム(20=フロリダ大)が、今季世界リストでは8位。世界陸上決勝進出が期待できる位置につけている。