ダイヤモンドリーグのなかでも最大規模の大会。ダイヤモンドリーグ・ポイント対象は15種目で他の大会と同等だが、対象外の種目が多く行われ、メンバーも対象種目に劣らない顔ぶれで実施されることが特徴である。

全米選手権が近いため米国勢の参加が少ないが、17年の出産からトップレベルに戻ってきた女子100メートルのシェリーアン・フレイザー・プライス(32=ジャマイカ)、ケガから本格復帰する男子走り高跳びのムタス・エッサ・バルシム(28=カタール)など、注目選手が多数登場する。

日本勢は男子100mに桐生祥秀(23=日本生命)と小池祐貴(24=住友電工)が、同200mに小池がエントリーした。男子400メートルリレーにも、五輪&世界陸上のメダル常連に成長した日本チームが出場する。

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今大会はロンドン五輪翌年の13年からアニバーサリーゲームズの名称に変更され、五輪会場のロンドン・スタジアムで開催されるようになった。フレイザー・プライスにとって、五輪2連覇を達成した思い出の場所である。

世界陸上も13年は200メートルと2冠、15年は100メートルで優勝。フレイザー・プライスは短距離の女王に君臨していたが、29歳で迎えたリオ五輪100メートルは銅メダルに終わった。

翌17年8月に長男を出産し、18年には競技に復帰。なかなか11秒を切ることができなかったが、7月の今大会に10秒98で優勝して世界トップレベルへのカムバックを果たした。

今シーズンは6月のジャマイカ選手権で10秒73の今季世界最高タイをマーク。今月5日のダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会でも10秒74で優勝した。

ロンドン五輪シーズンの6月に出した10秒70の自己記録を、思い出のロンドン・スタジアムで破ることができるかもしれない。

男子走り高跳びのバルシムは、昨年の大ケガからのダイヤモンドリーグ復帰戦となる。

2メートル43の世界歴代2位記録を持ち、この種目で超一流の証しとなる2メートル40台を11試合(屋外のみカウント)で跳ぶなど、バルシムは世界記録更新が最も期待できる選手だった。

昨年も2メートル40を2試合で跳ぶ好調なシーズンを進めていた。だが7月のハンガリーの試合で、2メートル40成功後に2メートル46の世界新に挑戦したときに、手術をする大ケガを負ってしまった。

今季はカタールの首都ドーハで4月にアジア選手権が開催された。バルシムはエントリーされたが出場できず、復帰初戦は6月23日のポーランドの試合にずれ込んだ。その試合で優勝したものの記録は2メートル27だった。

ダイヤモンドリーグ・ロンドン大会での跳躍が、ドーハで9月に開幕する世界陸上を占うことになる。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国ごとの出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。