男子100メートルで9秒98の前日本記録を持つ桐生祥秀(23=日本生命)が22日、成田空港発の航空機で欧州遠征に出発した。

25日のマドリードでの国際競技会ではサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)と激突する。他に自己記録9秒72のアサファ・パウエル(ジャマイカ)、同9秒85のマイク・ロジャース(米国)、同9秒86のジミー・ビコ(フランス)ら豪華なメンバーが集う。桐生は「いろんなメンバーの中で自分の走りをできればいい。それをしようと思う。誰と一緒でも関係ない」。周りは気にせず、自分のレースに徹する。

この大会では昨年、中国の蘇炳添が追い風0・2メートルの条件下、アジア記録に並ぶ9秒91を出した。今年も開催場所は同じ。好条件が整えば、タイムへの期待感も高まっていく。

17日のナイトゲームズ・イン福井では、靴底にピンがない新スパイクを実戦で初めて試した。結果は10秒05。上々の結果で、新スパイクは今後のオプションに組み込まれた。今回の遠征でも持参する。「(タータンとの感触が)合ったら、そのままいく(履く)つもり。ただあっちに行ってみないと分からない」。スタジアムのタータンのコンディション、性質を確認し、従来のピンありか、新たなピンなしスパイクを使用するか見極める。

7月下旬にはユーチューブの公式チャンネルも開設した。自分の今の心境、言葉、練習などを映像に記録し、将来的に自分で見返すだけでなく、ファンと相互の交流を計る。将来的にはユーチューブ発信のイベントなど企画したいと考えている。「始めたばかりなので、探り探り。まだ陸上のコアなファンしか見ない」のが現状。だが、これから競技の枠を超え、より多方面での発信を増やしていくつもりだ。現在、チャンネル登録人数は約2万5000人。「まずは10万を目指して。どうせやるなら本気でやっていきたいので」と話した。

マドリードでの国際競技会に出場後は1日のベルリンでのレースに挑む。弾みを付けて、代表選出が決定的な1カ月半後の世界選手権(ドーハ)を迎えたい。【上田悠太】