5種目で大会記録が誕生した。男子200メートルのノア・ライルズ(22=米国)の19秒65、棒高跳びのサム・ケンドリクス(26=米国)の6メートル00、三段跳びのウィル・クレイ(28=米国)の18メートル06はレベルが高く、9月27日に開幕する世界陸上ドーハ大会でも3人は優勝候補に挙げられる。

日本から唯一参加した男子走り高跳びの佐藤凌(25=東日印刷)は、2メートル23で7位だった。

今大会の結果、第13戦チューリッヒ(28日)と第14戦ブリュッセル(9月3日)で16種目ずつが行われるダイヤモンドリーグ・ファイナルの出場資格選手が決定した。日本勢では男子走り高跳びの戸辺直人(27=JAL)、棒高跳びの山本聖途(27=トヨタ自動車)の2人が出場資格を得た。

   ◇   ◇   ◇

男子三段跳びはクレイとクリスチャン・テイラー(29=米国)が好勝負を展開した。3回目までの記録は17m台前半だったが、後半の逆転ジャンプの応酬で17メートル49(テイラー4回目)、17メートル71(クレイ4回目)、17メートル82(テイラー5回目)と上がっていき、クレイの5回目は18メートルの大台を超えた。

クレイは「今日は素晴らしい日だった。18メートル06は海外での自己最高記録だから」と自身の記録をたたえた。

クレイの自己記録は6月に米国ロングビーチで跳んだ18メートル14で、世界歴代3位である。テイラーの18メートル21の米国記録、ジョナサン・エドワーズ(英国)の18メートル29の世界記録を射程圏内にとらえた。

「ドーハ(世界陸上)の記録を予測するのは難しいけれど、とにかく世界陸上は勝ちたい。“最大の業績”を達成できると思っている」

オリンピック(五輪)&世界陸上では銀メダル3個。すべてテイラーに敗れているクレイにとって金メダルも“最大の業績”なのかもしれないが、同時に世界記録更新も視野に入れているようだ。

男子200メートルはライルズが前半から大きくリードを奪い、後半も2位以下を圧倒。17年世界陸上金メダリストのラミル・グリエフ(29=トルコ)に0.36秒の大差をつけた。ライルズのタイムは19秒65。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が13年に出した19秒73の大会記録を更新した。

「ドーハには、ボルトの世界記録(19秒19)を破るために行くわけではありませんが、レースの場に立てば、どんなタイムでも出すつもりです」

自己記録の19秒50は更新できなかったライルズだが、パリの走りはまたワンステップ、ボルトの域に近づいたことを示していた。

◆今季の男子三段跳び 18メートルを超えているのはクレイだけ。2試合(18メートル14と18メートル06)で大台を跳んだ。それに続くのがテイラーで、17メートル82を今季2試合でマークしている。今季世界3位はオマー・クラドック(28=米国)の17メートル68。世界陸上はクレイとテイラーの金メダル争いになりそうだ。大舞台での勝負強さはテイラーがまさる。五輪はロンドン、リオと2連勝し、世界陸上も現在2連勝中だ。だが2人の差は3年前のリオ五輪は10センチ、2年前の世界陸上は5センチと縮まっている。男子三段跳びはドーハでも大きな注目を集めそうだ。