全2戦が行われるダイヤモンドリーグ・ファイナルの第1戦、チューリヒ大会で好記録が続出した。
男子400メートル障害ではカルステン・ワルホルム(23=ノルウェー)が46秒92の世界歴代2位で優勝。男子走り幅跳びのファン・ミゲル・エチェヴァリア(21=キューバ)が8m65、女子200メートルのショーナエ・ミラー・ウイボ(25=バハマ)は21秒74、女子砲丸投の鞏立■(■は女ヘンに交)(30=中国)が20メートル31と3選手が今季世界最高をマークした。
日本の2選手は男子走り高跳びの戸辺直人(27=JAL)が2メートル27で5位タイ、棒高跳びの山本聖途(27=トヨタ自動車)は5メートル58で11位だった。
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男子400メートル障害では初めて、同一レースで2選手が46秒台をマークする歴史的な戦いが展開された。
外側の7レーンに入ったワルホルムがいつものように前半からトップに立ち、8台目まで3~4メートルのリードを奪っていた。だが9台目の踏み切りが合わず小刻みのステップになり、ベンジャミン・レイ(22=米国)に数10センチ差まで迫られた。
だが、そこからワルホルムが粘って両者の差は縮まらず、ワルホルムがヨーロッパ人初の46秒台で逃げ切った。レイも自身初の46秒台となる46秒98で続いた。
ワルホルムは史上初めての46秒台ワンツーを「クレイジーだった」と振り返った。
「良い記録が出せると予想はしていましたが、驚くべきレースだったとしか言いようがありません。でも、ピークはまだ先にある」
世界記録は1992年にケビン・ヤング(米国)がバルセロナ五輪で出した46秒78。9月27日開幕の世界陸上ドーハで、27年ぶりに世界記録がアナウンスされるかもしれない。
男子走り幅跳びはエチェヴァリアが1回目の試技で8メートル65の今季世界最高をジャンプ。2位に45センチの大差をつけて優勝した。
「すごいパフォーマンスだった。ドーハではライバルたちも同じだと思うが、金メダルが目標だ。記録も含め、すべてが可能だと思う」
エチェヴァリアの自己記録は昨年マークした8メートル68。世界記録の8メートル95(マイク・パウエル=米国。1991年東京世界陸上)とはまだ30センチ近い開きがある。
だが、8メートル68を跳んだときのエチェヴァリアは19歳で、10代選手の世界最高記録だった。今年3月には追い風3.3メートルで参考記録にはなったが、8メートル92の大ジャンプを見せている。
世界記録更新はまだ難しいが、エチェヴァリアが世界陸上で8メートル75以上を跳べば21世紀にマークされた世界最高記録になる。
◆今季の男子400メートル障害
ワルホルムとレイ、昨年史上2人目の46秒台(46秒98の世界歴代3位タイ)を出したアブデルラーマン・サンバ(23=カタール)が3強を形成している。
ダイヤモンドリーグはサンバとレイが1勝なのに対し、ワルホルムは4勝。2年前の世界陸上は番狂わせの金メダルと言われたワルホルムが、シーズンを通じて最も安定した強さを見せている。
サンバは5月のダイヤモンドリーグ上海大会に47秒27で優勝したのを最後に、400メートル障害に出場していない。7月に1試合、それも400メートルに出ただけで動向がわからない。
サンバの地元カタールで開催される世界陸上が、今シーズン最終決戦となる。3強の争いから世界記録更新も期待できる。