全2戦が行われるダイヤモンドリーグ・ファイナル。その第2戦ブリュッセル大会が行われ、16人のダイヤモンドリーグ・チャンピオンが決まった。

男子200メートルはノア・ライルズ(22=米国)が19秒74で優勝。ファイナル第1戦(チューリヒ大会・8月29日)の100mに続き2冠を達成した。男子100メートルと200メートルの2冠は、ダイヤモンドリーグ史上初めての快挙となった。

女子5000メートルはシファン・ハッサン(26=オランダ)が14分26秒26で優勝。チューリヒ大会1500メートルに続き2冠を達成した。

今季のダイヤモンドリーグは今大会で終了し、選手たちは今月27日開幕の世界陸上ドーハ大会に照準を合わせていく。

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ライルズはスタートが苦手で前半はもたついた。17年世界陸上金メダリストのラミル・グリエフ(29=トルコ)がリードしたが、直線に出たところでほぼ並んでいた。後半はライルズが抜け出し、2位のグリエフに0・12秒差をつけて優勝した。

ライルズのタイムは19秒74で、期待された19秒台前半は出なかった。

「混乱したレースでしたね」とライルズ。「スターターから『オンユアマークス』の声がかかったところで雨が降り始めたし、ナンバーカードがシャツにうまく固定できていないことも気になった。トイレにも行きたくなってしまって…」

気温が17~18度と低く、200メートルに限らず全体的に記録は低調だった。

全米選手権の100メートルには出なかったライルズだが、ダイヤモンドリーグ・チャンピオンはワイルドカード(主催者推薦枠)で世界陸上に出場できる。

だがライルズは「僕の気持ちは変わらない」と明言した。「世界陸上は200メートルだけに出場します。金メダルがどうしても欲しいから」

女子5000メートルはラスト1周で4人の争いになったが、残り300メートルからハッサンがスパート。ラスト400メートルを59秒70のスピードでカバーし、2位に15メートル以上の差をつけた。

「今日は最後の100メートルが改善できましたが、ドーハでは速いペースをもう少し維持することが重要になるかもしれません。今日はドーハに向けて最後のテストができました」

世界陸上は女子1500メートルと5000メートルの決勝が同じ日に行われる。ハッサンの話ぶりからすると、5000メートルに絞るつもりのようだ。

◆今季の男子200メートル

ライルズの実績が抜きんでている。

今季初戦のダイヤモンドリーグ・ローマ大会こそマイケル・ノーマン(21=米国)に敗れたが、ローザンヌ大会、全米選手権、パリ大会、そしてブリュッセル大会と4連勝。ローザンヌでは19秒50の今季世界最高、世界歴代4位の好タイムもマークした。世界陸上では大本命だ。

ノーマンは400メートルに絞って出場するため、世界陸上前回金メダルのグリエフが打倒ライルズの一番手となる。17年後半から故障に苦しんだアンドレ・ドグラス(24=カナダ)も、ブリュッセル大会でグリエフに0.01秒差の3位と復調。ウサイン・ボルトに次いで銀メダルをとったリオ五輪当時の力が戻りつつある。

日本勢ではサニブラウン・アブデル・ハキーム(20=フロリダ大)が6月に、20秒08の日本歴代2位で走った。昨年のアジア大会200メートル優勝の小池祐貴(住友電工)も、100メートルで9秒98とサニブラウンの日本記録(9秒97)に迫っている。2人には世界陸上決勝進出が期待できる。