中村匠吾(26=富士通)が1位、服部勇馬(25=トヨタ自動車)が2位となり五輪出場が内定した。大迫傑(27=ナイキ)は3位で、「MGCファイナルチャレンジ」と呼ばれる指定の3大会(福岡国際マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソン)で、派遣設定記録(2時間5分49秒)を突破した選手がいない場合に代表権を得る。

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まずは、設楽の勇気に敬意を表したい。練習でも絶好調と聞いていた。よほど逃げ切れる自信があったのだろう。ただ、思った以上に暑かった。それが体力を奪い、最後は失速につながった。力は十分にあるのだから、慎重にいっても良かった。ただ、設楽の飛びだす判断がレースを面白くしたことは間違いがない。

中村の優勝、服部の2位は想定内だった。力のある選手が代表になったことは素晴らしい。中村は能力が高く、最後までスピードが落ちなかった。大迫との争いを制した服部は4強の中の1人。ともに暑い中で走れたことが、真夏の東京五輪への自信になる。

4強、特に大迫には相当なプレッシャーがかかっていたはず。逆に中村はノンプレッシャーだったからこそ、伸び伸び走れた。もっとも、五輪本番は今回以上。中村も今度はプレッシャーと闘う必要がある。

設楽が飛びだし、終盤には激しい競り合いもあり、ファンは楽しめたと思う。もともと、危機感から生まれたMGCだが、日本マラソンの成長は実感できた。ただ、このレースが成功だったかどうかは、東京五輪の成績次第。選ばれた4人は、今すぐに五輪への準備を始めてほしい。(84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪代表)