陸上男子800メートルで今年の日本選手権に優勝したクレイ・アーロン竜波(たつなみ、17=神奈川・相洋高)が25日、都内であった20年東京オリンピック(五輪)で活躍が期待される「ダイヤモンドアスリート」の認定式に出席した。

来年9月から米国のテキサス農工大に進学。東京五輪出場が期待される高校3年生は「アメリカはレベルが高く、中距離界も盛り上がっている。そこにいって一緒に走ってみたいとアメリカの大学に行こうと思いました」。昨年の全米大学選手権のレベルを見て、アメリカを渡ることに興味を持った。日本の大学からも誘いはあったが、「高2の終わりぐらい」には米国に進学する決意を固めていた。

テキサス農工大は今秋の世界選手権男子800メートル金メダリストのドナヴァン・ブレイジャー(米国)も所属する強豪。10月には現地の環境を見に行った。「キャンパス内にもジムが8個ぐらい。競技場も2つ。室内競技場も1つ。施設は完璧でした」と笑顔。また学習面をサポートしてくれるスタッフまでいて心強い。言葉の壁もない。自宅ではアメリカ人の父と英語で会話しているという。この日も認定式で「No matter what happens,Never stop believing(信じることを辞めるな)」と流ちょうな発音で決意を述べた。

男子100メートル日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)も米国の大学に進んだ1人だ。大学選びなどの相談もしていた。クレイは「憧れでもある存在。1人が成功を遂げている。その後にも続く人が出てくると思う」。サニブラウンの背中を見習い、世界のトップへと成長していく。

湘南の海が原点にある。小学校2年からライフセービングを習い、今もクラブに所属している。それが生きているという。「泳いだり、砂浜を走ったりして、心肺機能が鍛えられ、足の接地にもつながったんじゃないかな」と言う。家族全員が海が好きで、「竜波」の名前も海に由来する。

クレイは6月の日本選手権で自己記録となる1分46秒59で優勝。そのタイムは高校新記録でもあり、将来を期待されている。東京五輪の参加標準記録は1分45秒20だ。もう夢物語ではない。「だんだん視野にも入っている。東京オリンピックに出られるように冬期を積み重ねていきたい」。9月のテキサス農工大への入学までの期間は相洋高で練習する予定。オリンピックの経験を携えて、米国に飛び込んでいく未来像を描く。

◆クレイ・アーロン竜波(たつなみ)2002年(平14)3月25日、神奈川・藤沢市生まれ。父が米国人、母が日本人。幼少時代はマリンスポーツをして過ごし、中学1年から本格的に陸上を始める。得意種目は中距離で、主に800メートル。178センチ、62キロ