静岡県代表が、2時間18分36秒のチーム新記録をたたきだし、3年ぶりの5位入賞を果たした。一時は14位にまで順位を落としたが、今年の箱根駅伝で2区区間2位と好走したアンカー伊藤達彦(東京国際大4年)が、6人抜きの力走。期待通りの働きでチームを浮上させた。

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最終7区。11位でタスキを受けた伊藤は、不安を抱えてのスタートだった。「足が重く、ちゃんと走れるのか分からなかった」。激走した箱根後、足の疲労が抜けず、軽めの練習で調整。調子は上向かなかったが、アンカーという大役の責任感から「前走者は全員が(入賞圏の)8位だと思って走った」と振り返った。

3年連続3度目の出場も、過去2回はいずれも3区で区間20位台。しかし、昨夏のユニバーシアード・ハーフマラソンで銅メダルに輝くなど、この1年で急成長。自信を持って今大会に臨んでいた。この日のレースのラスト3キロ。細かいアップダウンが続き「ずっとキツかった」というが、歯を食いしばっての力走で成長した姿を披露した。

学生としての最後のレースを終えた。卒業後は実業団のホンダへ入社し、さらなるレベルアップを誓う。「まずは日本選手権1万メートルの参加標準記録A(28分20秒)を超えたい。トラックで力をつけて、マラソンに挑戦するつもりです」。マラソンでは、24年のパリオリンピック(五輪)出場が目標だという。中学までサッカー部に所属し、浜松商高入学後に陸上を本格的に始めた伊藤。大学で開花した若きランナーが、世界を目指して次の舞台へと向かう。【河合萌彦】

○…1区の尾崎健斗(浜松商高2年)が、区間タイ記録(19分51秒)の快走でチームに勢いを与えた。序盤は後方に位置したが、「首位と30秒以内でつなぐことが自分の役割なので、最初は様子を見ていた」と冷静さを維持。次第に周囲が離れていく中、自分のペースを守りきった。ラストスパートで遅れ「今後の課題です」と唇をかんだが、「来年も1区を走り、今回のリベンジをしたい」と前を向いた。

▽静岡・清尊徳監督(藤枝明誠高教)の話 (3年ぶりの入賞に笑顔)全員が思惑通りの走りをしてくれた。これぞ駅伝というレースになった。

▽6区馬場大翔(ひろと、御殿場中3年)の話 (2年連続で走り、区間5位)目標だった8分35秒を切れて良かった。(7区の)伊藤さんが何とかしてくれると信じて走りました。