東海大陸上競技部のルーキー喜早駿介(宮城・仙台育英)が、憧れの大迫傑(28=ナイキ)の背中を追う。

同大の両角速監督(53)は、高校駅伝の強豪・佐久長聖(長野)時代に日本のエースを指導。現在、新型コロナウイルスの影響で部としては活動休止中だが、名将のもとで「世界基準」を目指し、1年目から「3大駅伝(出雲、全日本、箱根)すべてに出て区間上位争いをする」とフル稼働を誓う。学生トップランナーに成長し、24年パリ・オリンピック(五輪)をはじめ世界へ羽ばたく。

   ◇   ◇   ◇

「駅伝男」の輝きを放った。昨年12月、仙台育英が12年ぶり優勝の全国高校駅伝で、エース区間の1区10キロを6位の28分58秒で走破。03年以来の「日本人28分台」の1人になり、大会時点で日本人歴代2位(29分6秒)、佐久長聖3年時の大迫を8秒上回った。同大会は17年に7区3位、18年は4区4位と盤石だ。

全国都道府県対抗駅伝も18年から3年連続出場。1年目は32位で、その後7位、6位と好走した。15年の全国中学駅伝は5区7位だった。「単独走も集団走も得意でロードに適性があると思います」と分析する。

コロナ禍で東海大入学式は中止。2、3月の同大合宿は参加も全体練習は4月頭が最後に。「レベルの高い人ばかりで質の高い練習ができていました」。手応えを感じる中で自主練期間へ。神奈川の寮に残る一部部員を除き帰省し、部から出されるメニューをこなす。喜早は仙台で午前と午後の各14~16キロ走り、800メートル6本、1000メートル6本のポイント練習などで調整。現在は11日のオンライン授業開始に向け寮に戻った。

自己ベストは5000メートル14分17秒87、1万メートル28分52秒13。きついところで粘れる持ち味に加え、大学で戦えるスピードとスタミナを磨く。「最終的に5000は13分8秒を切り、1万なら27分30秒を切るとか日本新が目標」。将来的なマラソン挑戦も視野に入れる。

大迫マニアだ。寮には3月の東京マラソンで日本新記録2時間5分29秒でゴールしたヒーローのポスターを貼り、気持ちを高めている。「アメリカに渡る際も不安とかいろいろあったと思うが、全部前向きに捉え陸上だけを考えるストイックさに憧れています」。本人から贈られたサイン入り帽子やシューズが宝物だ。

高校同期で中大に進学した吉居大和と連絡を取り合い「自分よりもいい練習ができているので、負けてられないです」と刺激を受ける。「学生界のトップランナーになれるように日々の練習を頑張り、3大駅伝やトラックでしっかり強さを証明したいです」。伝統の東海ブルーをまとい「駿足」を極める。【山田愛斗】

◆喜早駿介(きそう・しゅんすけ)2002年(平14)1月11日生まれ、仙台市出身。小学生時代はリトルリーグの東新ヤンキーズで野球経験。高砂中1年時に偶然出場した仙台市の1500メートル新人戦で8位入賞したのがきっかけで、中2から本格的に陸上競技スタート。仙台育英を経て東海大に今春入学。趣味は「クレヨンしんちゃん」などのアニメやドラマ、映画鑑賞。家族は両親、兄。163センチ、48キロ。