男子100メートルで9秒98の自己記録を持つ桐生祥秀(24=日本生命)が12日、男子マラソンの大迫傑(29=ナイキ)と寺田明日香(30=パソナグループ)とともに、総体が中止となった高校生を支援するためのディスカッションをインターネット上に配信した。実現可能性は未知数だが、「オンラインでの練習会」「新しい記録会」を設立するなどのプランが出た。

桐生は「みんなでメッセージを取り合って、1つの目標を掲げれば、楽しいことも増えていく。今、できることを考える。何事もポジティブに考えれば、いろんな可能性が広がる」と高校生にメッセージを送った。

京都・洛南高時代は陸上漬けの3年間を送った。平日は朝5時に起きて、朝練へ向かい、休日も試合や練習日々。移動は制服で「私服を1枚も持っていなかった。兄貴の借りていくぐらい」というほど没頭する生活だった。3年生の時には高校総体(インターハイ)で、100メートル、200メートル、400メートルリレーの3冠を達成。その舞台に懸けていたから、中止になった高校生の無念を思うと胸が痛くなる。今後も、できることを探していくつもりだ。

新型コロナウイルスの影響で、練習場が使えなかった期間は、深夜や早朝などに自宅近くをダッシュしていたという。東京五輪が延期になったことは「練習が1年間、伸びる」と前向きに捉える。衝撃の10秒01を出した、あの高校3年の時から7年が経つ。あどけない丸刈りだった青年は、日本短距離界を背負い続けてる。高校生に向けた言葉通り、現状を「ポジティブ」に考え、自らの可能性を広げていく。