4分21秒77で優勝した女子長距離の新谷仁美(32=積水化学)は「これは書いてもらいたいことなのですけど」と切り出した。女性アスリート特有の問題についての意見だった。

報道陣の前に来ると、まず「ロキソニンを飲んで、生理痛を止めたいです」と話した。それを飲み終わると、先ほどの言葉を発して、続けた。

「自然現象なので。ありがたいなと思います。このような場で他の選手は話されないと思いますが、女性の体は生理があるのが正しいこと。間違えないで欲しい。それによってパフォーマンスは上がったり、下がったりすると思いますが、私の場合は一切、関係ないこと。逆に止まる方が、生きる上では困ってしまうこと。ありがたいです」

新谷は1度、14年1月に引退している。その前から、痛めた踵の負担を減らすため、極度の体重制限をしていたという。それにより、過去にはメンタルが崩れ、無月経になったことも明かしていた。復帰した今は、考えは正反対になった。同じように苦しむ選手が出ないように、強く発信をしている。

レースは最初の1周を慎重に入れたことが収穫。「ゴールまで気持ちの余裕を持って、走れたのは1万メートルにつながる」と振り返った。5000メートルと1万メートルの参加標準記録を突破している東京オリンピック(五輪)に向けては「いかに楽をしようかということしか考えない人間なので、そういった意味では日頃のモチベーションを下げず、練習に取り組めるかが重要。コロナを言い訳に、国から(自粛などの)要請が出ました。じゃあ休もうとならないように頑張ります」。今はプロランナーとして競技に専念している。自らを「走るニート」と表現。そして最後に、怠けていた時の自分を「走らないニートになっていた。1日のルーティーンがペットの糞拾いになっていた」。そう“新谷節”で締めた。