陸上ハンマー投げの佐々木健介(新津工3年)が、全国高校陸上大会(23~25日=広島・エディオンスタジアム)に臨む。中止になった8月の全国高校総体(インターハイ)の代替大会。昨年の同時期に同会場で開かれたU-18日本選手権では2位に入っている。新津一中時代は水泳の全中に出場した経歴を持つ。陸上を高校から始めた急成長株は、高校最後の大会で快投を誓っている。

   ◇   ◇   ◇

佐々木が放ったハンマーが新津工グラウンドの土を削り、土粒をまき散らした。練習で安定感のある投てきを繰り返して、55メートルラインをコンスタントに越えた。9月6日に開かれた新発田市の記録会で60メートル74の自己新記録をマークするなど調子は上向き。大会は試投2本で上位8人を選出(8強選手はさらに2本)するだけに集中力が要求される。「1本目にドカーンと飛ばして、ライバルを揺さぶりたい」。そんな競技プランで、目標は県高校記録62メートル04の更新。そして上位進出だ。

新津一中時代は水泳の全国中学大会(全中)で400メートルフリーリレーの第3泳者を務めた。高校で初めて陸上を開始し、ハンマー投げに取り組んだ。最初の記録が24メートル99だけに、記録は驚異的な伸びだ。水泳選手時代は70キロ台の体重だったが、今は110キロ。パワーをつけてフルスクワットと、デッドリフトは200キロだ。

今春、赴任した投てき専門の新田健監督(54)が指導しているが、昨年までは同監督の前任校・新発田南まで週1ペースで出掛けた。「リミッターが外れる時がある」というほど練習熱心。コロナ禍の期間も手を抜かなかった。祖父が経営する板金塗装の工場に、学校から筋トレの器具を運び込んで筋力維持を図った。

教員志望で、将来の目標は陸上の指導者。大学に進学して競技を続けるつもりだ。ハンマーの重量は6キロから7・26キロに増えるが、すでに大学4年間の青写真も描いている。ターゲットはインカレと日本選手権の優勝だ。「(室伏広治の)日本記録(84メートル86)に少しでも近づきたい」。その1歩がインターハイの代替の全国高校陸上大会になる。【涌井幹雄】

◆佐々木健介(ささき・けんすけ)2002年(平14)12月29日、新潟市生まれ。スポーツは幼稚園から水泳を始め、小学生時ではラグビー、相撲を経験。新津一中ではリレー要員で水泳の全中に出場。高校2年で県高校総体ハンマー投げで優勝。「陸上は記録の追求が楽しい」。178センチ、110キロ。