男子1万メートルは相沢晃(23=旭化成)が27分18秒75の日本新記録で初制覇。

   ◇   ◇   ◇

先頭でゴールに飛び込むと、右手を高々と上げて喜んだ。男子1万メートルで相沢が27分18秒75の日本新記録で優勝。東京五輪の切符をがっちりとつかみ、「このレースに向けてこの1年やってきた。オリンピック内定と結果を出せてうれしい」と喜んだ。

レース中盤の苦しいときにもペースをキープ。終盤に入って最後の力を振り絞った。所属先の旭化成の先輩にあたる村山紘太が15年にマークした27分29秒69を大きく更新し、「思っていたよりも速く走れた」と破顔一笑。それで近況の充実ぶりから記録更新は視野に入れていたと明かし、「練習を積めれば日本記録も目指せると思っていた」と胸を張った。

実業団1年目のルーキー。東洋大4年の今年1月には、箱根駅伝で「花の2区」の区間記録を史上初となる1時間5分台(57秒)に塗り替えた。出雲駅伝3区、全日本大学駅伝3区の区間新を持つ逸材は、実業団に進んでも存在感を発揮し、先月の九州実業団対抗駅伝では区間新をマークする快走で、チームの3連覇に貢献していた。

福島県須賀川市出身。64年東京五輪男子マラソン銅メダリストの故・円谷幸吉氏とは同郷にあたり、中学時代には円谷氏にゆかりのクラブに所属してきた。「円谷さんのことは意識してやってきたし、縁を感じる。円谷さんはオリンピックにトラックでも出場されていた。自分もトラックで出られたらと頑張ってきた」。偉大な先輩の背中を追いかけ、国立競技場でも全力で駆け抜ける。

○…優勝した相沢のみならず、27分25秒73で2位だった伊藤、そこから約3秒差で3位だった田村までが日本記録を更新と、男子1万メートルはハイレベルな戦いが繰り広げられた。東京五輪マラソン代表の大迫も、1万メートルの自己記録を更新するタイムを繰り出して6位となり、「最後まで走りきって自己ベストを出せたのは良かった」と納得顔だった。

相沢晃

(あいざわ・あきら)

◆生まれ 1997年(平9)7月18日、64年東京五輪男子マラソン銅メダルの円谷幸吉さんと同じ福島県須賀川市生まれ。

◆経歴 長沼小3年の時に円谷ランナーズで始め、長沼中から学法石川高。

◆「学生最強」 東洋大では2年から箱根駅伝出場。昨年の日本選手権では5000メートル(5位)1万メートル(4位)と大迫傑以来の学生ダブル入賞。続く7月のユニバーシアード・ハーフマラソンに優勝し「学生最強」の称号を得た。

◆衝撃の記録 今年の箱根駅伝2区(23・1キロ)を1時間5分57秒で走破。09年にモグス(山梨学院大)が記録した1時間6分4秒を更新。解説の瀬古利彦氏も「まさか、驚かされた」とびっくり。

◆公約達成 かねての目標通り、1万メートルでの東京五輪を決めた。さらに4年後の24年パリ大会はマラソンでの出場を目指している。

◆サイズ 178センチ、62キロ。