復活を狙う強豪校が好位で往路を終えた。

昨年は10位、11年連続の3位以内が途切れた東洋大は、若い力で逆襲劇。昨年卒業した東京五輪代表の相沢晃(旭化成)の後継者として期待される松山和希(1年)が、エース区間2区で、日本人1年生では歴代2位の快走で流れを作った。復路で7年ぶりの逆転優勝を目指す。3位駒大にも13年ぶりの頂点が見えてきた。

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「大丈夫なのか」と危ぶむ声があってもおかしくない。そう感じていたという。芦ノ湖に2位で飛び込んだ東洋大の5区宮下は、「結構、周りから見ると『どうなんだ』と思われていたと思うけど…」とレース前を思い返す。レース後は、「(下級生は)とても頼りがいがあった。自分としては不安なくやってくれるだろう期待があった」。1、2区の箱根デビューリレーが逆襲の口火だった。

酒井監督は戦前、「若い力を信じたい」と巻き返しの鍵に挙げていた。箱根未経験者をスタートから並べる大胆采配。1区の児玉(2年)が集団から1度は抜け出す強気の走りで9位で滑り出すと、2区で「若い力」はさらに輝いた。

福島の学法石川高から東洋大へ。その経歴が超エースだった相沢と重なる1年生の松山が10年越しの思いを体現する。「小1から遊びで走り始め、大学のドラマ、気持ちのこもった走りに引かれた」と待望の箱根路。すぐに第2集団に追いつき、最後の坂でスパートをかけ、「楽しかった」と高揚感に浸り、5位に順位を上げた。

相沢は1年時に箱根を走っていない。同監督は経験を、エースへの礎にと願っていた。思いに応える快走を見せ、「絶対的エースにあこがれがある。(相沢を)目指していきたい」「(今回は)他の選手の力を借りましたが、4年の頃には引っ張ってレースを作れるように」と固く誓った。

5区では昨年は区間記録の宮下が、右足のすねを痛めながら踏ん張り、創価大との差は2分14秒。平成以降では逆転のタイム差の条件は厳しくなったが、2分差は圏内だ。同監督は「まだまだチャンスはある」。昨年10位から一気に頂点へ、逆襲劇を完遂する。【阿部健吾】

◆復路での逆転優勝 過去96大会で復路での逆転は31回。タイム差の条件は平成以降では厳しくなっており、3分以上はなし。2分台では96年の往路2位の中大(2分15秒差)、06年の往路6位の亜大(2分51秒差)の2例がある。東洋大が優勝すれば平成以降では3番目、駒大では2番目の逆転記録になる。