女子で東京五輪マラソン代表の一山麻緒(23=ワコール)がハーフマラソン自己新記録で優勝し、五輪に弾みをつけた。同コースで行われたテスト大会で、日本歴代6位の1時間8分28秒を記録。勝負どころの直線で後続を引き離し、コースの特徴もつかんだ。五輪代表は鈴木亜由子(日本郵政グループ)が1時間8分53秒の3位、前田穂南(天満屋)が1時間10分50秒の5位。男子では服部勇馬(トヨタ自動車)が、1時間2分59秒で24位となった。

   ◇   ◇   ◇

実地のテスト大会でコロナ対策の課題が浮き彫りとなった。組織委員会の森泰夫スポーツ局次長は「ウオームアップエリアが狭いという声が上がった」と紹介。車道3車線の幅に約120メートルの長さで設けられた同エリアにハーフマラソンでは国内外69人の選手が一堂に会した。森氏は「練習するには短いという声が上がった。重要な意見。改善していきたい」と語った。

コロナ対策という観点で不安を感じた選手もいる。女子五輪代表の鈴木亜由子(29=日本郵政グループ)。「混んでいて感染が少し怖かった。整列の指示を出してほしかったが大会スタッフの方もどうして良いか分からない様子だった」。

男子代表の服部勇馬(27=トヨタ自動車)は五輪本番の給水所において、水を含んだスポンジや氷の提供を求めた。真夏に実施される本大会で「暑さ対策として大会側に用意していただけたら」と要望した。

ただ森氏によるとコロナ対策の観点から簡単な問題ではない。スポンジは選手が直接、顔や肌に付ける。使う側だけでなく、使用後のものを処理する競技ボランティアも感染リスクが生まれる。給水所の従事者が感染防止の手袋を着けて提供するなど、やり方はあるが森氏は「給水所のスタッフまで日々のコロナ検査が必要になるのかは分からないが、改善点1つ1つに多くの問題が絡み合ってくる」とコロナ対策の難しさを吐露した。【三須一紀】

○…札幌市内のコース沿道に集まった観衆は全体的にまばらだった一方で、ゴール付近の北大構内にはマラソンファンが集まった。観戦自粛を求めるプラカードを掲げた女性ボランティア(29)は「思ったより観衆が集まった。止まらずに歩きながら観戦してほしかった」と述べた。観衆の20代男性は「五輪はきっと開催するだろうから感染対策を確認する上でテスト大会は必要だった」。近くを通りがかった30代男性は「感染者が増えている時期にやるのはどうなのか」と疑問を呈していた。

○…テスト大会を視察した組織委の橋本聖子会長が、コロナの感染状況が好転した場合、五輪本番での沿道観戦を実現させたいとの希望を示した。橋本会長はその時の感染状況によると前置きした上で「少しでも感染を抑えることができれば、道民の皆さんに選手の息づかいを見ていただきたいという思いがある」と語った。