陸上女子短距離を引っ張ってきた福島千里さん(33=セイコー)が29日、第2の競技人生をスタートさせた。この日午前中に東京都内で現役引退を発表した福島さんは、午後からスポーツ教室に参加。オンラインで出身地・北海道の小学生たちと一緒に体を動かし、自らの経験を伝えた。

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引退会見のスーツをトレーニングウエアに着替え、福島さんは子供たちと体を動かした。「現役の時は自分のことで精いっぱいだったけれど、今度はスポーツの楽しさを伝えたい」という言葉通りに、笑顔いっぱい。オンラインでつながった画面上の子供たちに声をかけながら「セイコースポーツアンバサダー」としての初仕事をこなした。

陸上競技を始めたのは、小学4年生の時。それまでは、スピードスケートをやっていたが「距離が長いのと、寒いのが苦手だった」と笑わせた。最初は陸上教室に通ったが「それが楽しかった。入り方としては良かったと思う。まずは、陸上を楽しんでやってもらいたい」と話した。

質問にも答えた。「試合前の食事は」には「炭水化物とビタミンを積極的にとるようにしていた」。そして「グラウンド以外でのトレーニングは」には「家でいくらでもできる。腹筋やバランス。私は気が付いたら腹筋をやっています」と言って驚かせた。

長い現役生活を送ってきたただけあって、子供たちへの言葉も熱かった。「昨日より少しでも速くなったり、できないことができるようになったり、勝てない選手に勝てるようになったり、コツコツと努力すること。結果、それが成長につながる」。伝えたいことは、たくさんあった。

初仕事の相手は、北海道の子供たち。故郷への思いも口にした。「私もみなさんと同じ北海道で育ちました。外は大雪だと思いますが、雪が溶けるのを楽しみに待って、冬季の練習を頑張ってほしい」。

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現役を引退して「いろいろなことに挑戦したい」と話した。具体的には「見つかっていないけれど、これから目標を立てるためにいろいろと挑戦したい」と言った。もちろん、基本は陸上。「陸上を通して」「子供たちに」という言葉を繰り返した。福島さんの第2の陸上人生がこの日、スタートした。【荻島弘一】