男子世界記録(2時間1分39秒)保持者のエリウド・キプチョゲ(37=ケニア)が、日本国内最高記録となる2時間2分40秒で優勝した。従来の記録は17年東京でウィルソン・キプサング(ケニア)がマークした2時間3分58秒だった。

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大会記録更新を狙い、ペースメーカーは1キロ2分54~55秒に設定。前半から起伏が少ないコースを世界記録ペースで飛ばした。10キロすぎでは大会関係車両につられてコースを間違え、先頭集団が後方へと戻るハプニングがあった。約10秒のタイムロスが生じたが、すぐ世界記録更新ペースに修正した。

あまりの速さに21キロすぎにペースメーカー2人が脱落し、26キロすぎではペースメーカーが遅いと感じ前に出て引っ張った。世界記録更新へ本気だった。36キロすぎで並走するキプルト(ケニア)を後方に置き去りにし、危なげなくゴール。「(東京五輪の)札幌で金メダルを取り、今度は東京を走れてワクワクしていた。沿道のみなさんの声援が聞こえました」と感謝した。

16年リオデジャネイロ、21年東京と五輪2大会を連覇するなどマラソン16戦で14勝。19年には40人のペースメーカーと風よけの車に先導され、非公式ながら1時間59分40秒の人類史上初の2時間切りを記録した。

人類史上最強ランナーは、大会前の会見でクリップボードに自身の想定タイムを書くよう求められると、6つのマス目に「STRONG」と書き込んだ。その宣言通りの走りを東京で披露し、「ストロングの意味が分かってくれたと思います」と胸を張った。

 

◆エリウド・キプチョゲ 1984年11月5日生まれ、ケニアのナンディ・カウンティ出身。5000メートルで03年世界選手権パリ大会金メダル、04年アテネ五輪銅メダル、07年世界選手権大阪大会銀メダル、08年北京五輪で銀メダル。12年よりマラソンに転向し、16年リオ、20年(21年開催)東京で金メダル。167センチ、52キロ。