東京五輪1万メートル代表の安藤友香(27=ワコール)が、2時間22分22秒で日本人トップの3位に入った。2時間17分台を持つ海外勢2人にくらいついて、来秋の「グランドチャンピオンシップ」(MGC)出場権を獲得。今後の目標に、24年パリ五輪でのメダル獲得を掲げた。今大会で8人がMGC切符を獲得。大会新の2時間17分18秒を出したルース・チェプンゲティッチ(ケニア)が、世界最高額の優勝賞金25万ドル(約2875万円)を手にした。

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【レース経過】名古屋ウィメンズマラソンの詳細はコチラ

安藤は決断した。「ここは絶対にいかないと後悔する」。15キロ過ぎに先頭を追ってペースアップした2番手サルピーターについた。ハーフを1時間9分47秒で通過。日本記録2時間19分12秒に近づくペースで飛ばした。「自分としては挑戦と決めていた」と言った。

優勝賞金25万ドルが、レースを一変させた。19年世界選手権覇者で自己ベスト2時間17分8秒を持つチェプンゲティッチは、わずか5キロでペースメーカー(PM)に見切りをつける。2時間21分前後のフィニッシュを想定したPMを無視して独走。Vを狙ってライバルの振り落としにかかった。

安藤は「30キロまでPMがいると聞いていたが、海外勢は(走りが)はまればいってしまう。どこかで出ると思ったが、思ったよりも早い段階だった」。PMがいない世界選手権、五輪さながらの展開で、しかも高速レース。トップが見える位置で食らいついたが、25キロすぎに離された。「ペースの上げ下げは、海外では当たり前の駆け引きとしてある。力不足でいけなかった」と現実を受け入れた。

それでもMGC切符を獲得し、7月の世界選手権代表候補になった。ゴール後は体調不良で会見を欠席するほど、力を振り絞った。ゴールから約4時間後に代表取材に応じて「今日のレースでは戦えない。鍛え直したい」。最大の目標は決まっている。「ベストを尽くし日々の練習をするしかない。少しでも近づけるように。この舞台を糧に24年パリ五輪ではマラソンでメダルを目指して頑張りたい」と誓った。【益田一弘】

○…今大会で、7月の世界選手権米オレゴン大会代表選考会が終了した。大阪国際女子優勝の松田、東京で日本人1位一山は確実。残り1枠を東京同2位新谷と今大会同1位安藤が争う。新谷はタイムで安藤を1分5秒上回るが、一山に負けての同2位、さらに今後もマラソンを走るか、という不透明な部分がある。日本陸連でマラソンを担当する高岡寿成シニアディレクターは「(新谷)本人の気持ちを確認します。条件が違う中で評価するのは心苦しいが、パリ五輪につながる選考にしたい」。同代表は29日に発表される予定だ。

◆今大会のMGC獲得者 安藤友香(ワコール)細田あい(エディオン)鈴木優花(大東大)福良郁美(大塚製薬)太田琴菜(日本郵政グループ)竹本香奈子(ダイハツ)岩出玲亜(千葉陸協)川内理江(大塚製薬)

▽初マラソンで日本人3位に入った大東大4年の鈴木優花 学生最後のレースでMGCをとれた。大きな収穫のある大会だった。