世界選手権(7月、米オレゴン州)の代表内定を決めている1500メートルを含めて今大会3種目に出場した田中希実(豊田自動織機)が、最終種目の5000メートルを15分05秒61で制し、1500メートルに続く2種目目の代表内定を決めた。

前半から東京五輪9位の広中璃梨佳(日本郵政グループ)に後方をピタリと追走。3200メートル付近からは広中と肩を並べて並走した。残り1周から驚異的なスパートで後続を一気に突き放すと、最後までスピードを落とさずに独走でゴールを駆け抜けた。

75分前に800メートル決勝に出場したばかりだった。トップを独走していた塩見綾乃(岩谷産業)をラスト200メートルから驚異的なスパートで追い上げたが、わずかに及ばず2位。その激走の疲れも見せなかった。「案外、余裕を持っていたので、800を走っても走ってなくても同じだったかな。前半、ゆとり持ちながらいいイメージでレースができた」と、5000メートルを走り終えた田中は表情ひとつ変えずに言った。

今大会は3種目で5本のレースを走り、2種目で世界選手権代表に内定。「結果的に去年より本数や質が上がっていたので、うれしい。それを世界の舞台でも出していきたい」と自信をのぞかせた一方で、「5000メートルのこのタイムでは、もう少し余裕を持たないとまた予選落ちしてしまう。1500メートルも今季は海外の選手とのレースで、あまりいい感触がなかったので、今までの悔しさをバネに両種目とも決勝に残ってしっかり戦えるようにしたい」と、気を引き締めることも忘れなかった。

◆田中希実(たなか・のぞみ)1999年(平11)9月4日、兵庫・小野市生まれ。小野南中3年時に全国中学校大会1500メートルで優勝。西脇工高では全国高校駅伝に3年連続出場。同大1年の18年U-20(20歳未満)世界選手権で3000メートル優勝。19年世界選手権5000メートル14位。東京五輪では1500メートルで8位入賞、5000メートルは予選敗退。22年4月から豊田自動織機に入社。趣味は読書。153センチ。