新たに箱根路を走るチャンスを得ることになった地方の大学は何を思うのか。第100回箱根駅伝(2024年1月2日、3日)の予選会に全国の大学が参加可能となったことを受けて、1日、関東以外で全日本、出雲駅伝の出場経験が豊富な関学大(兵庫)皇学館大(三重)札幌学院大(北海道)の3大学の指導者に電話取材した。

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今年11月の全日本大学駅伝で4年連続12度目の出場となる関学大の竹原純一監督は「今のメンバーで出るのは無理。箱根はもともと頭にないし、ハーフの練習もしていないしね」と苦笑いを浮かべた。1区間の平均距離は全日本が13キロ、出雲は8キロ。ハーフマラソン(21・0975キロ)で争う箱根予選会への適応は、容易ではない。101回大会以降の“全国化”定着は未定とあって「10年後も続くとなれば、ちょこちょこ出場する可能性はある」と話した。

全日本で過去28度の出場を誇る札幌学院大の鹿内(しかうち)万敬監督(49)は「地方は地方独自(方針)でやっているので、そこ(予選会)を目指すかは部員と話し合う必要がある」と出場意思の明言を避けた。一方で「関東で日の目を見る選手は、ごく一部の人間。関東で諦めた選手が、地方の大学を選んで違う形で力を発揮できるかもしれない」と期待。全国化が継続すれば、箱根路を目指す学生にとっては進路の選択肢が増える。

皇学館大の日比勝俊監督(56)はこれまで、高校生をスカウトする際は冗談っぽく「うちに来ても箱根には出られないけどね」と声をかけていたという。同大学は4年連続で東海地区をトップ通過している。関東の強豪への挑戦について「今の実力差では厳しいが、チャレンジするいい機会」と前を向く。地方の雄たちが、長い歴史を誇る箱根駅伝に彩りを加える日は来るのだろうか。【佐藤礼征】