“マイル侍”が19年ぶりの快挙を成し遂げた。男子1600メートルリレー予選で日本が3分01秒53の好タイムで1組2着に入った。

佐藤風雅(26=那須環境)-川端魁人(23=中京大ク)-ウォルシュ・ジュリアン(25=富士通)-中島佑気ジョセフ(20=東洋大)という平均年齢23・5歳の若い布陣で、全体でも2番目の記録。03年パリ大会(7位)以来となる決勝進出を果たし、大会最終日(日本時間25日)に同種目史上初のメダル獲得を狙う。

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円陣を組んだ4人はクタクタになりながらも、互いの肩をたたき合って喜びを分かち合った。東京五輪金の米国に次ぐ組2着。五輪を含めた世界大会でメダルを獲得したことがない日本のマイルリレーが、堂々の予選突破を果たした。

今大会400メートルで準決勝に進出した第1走者の佐藤が、米国に次ぐ2番手につける。第2走者の川端は一時4番手に下がったが、追い上げて3番手でバトンをつないだ。「(予選敗退した個人種目の)400メートルで悔しい思いをしたが切り替えた」。中京大を卒業して1年間、3月まで中学校の教員を務めた異色の経歴。4月からは母校の中京大でプレーイングマネジャーとして競技を続ける。日本にいる元教え子のSNSなどの激励を力に意地を見せた。

第3走者のウォルシュは「2人がいい順位で渡してくれた」とバトンを受け継ぎ、順位を2位に押し上げた。16年リオデジャネイロ五輪から主力として活躍。シーズン前の冬場は、米国の南カリフォルニア大で過ごした。日本人の母を持ち、今大会男子400メートルを制したマイケル・ノーマン(米国)らと練習。トップ選手のトレーニングや食事管理を目の当たりにし、強い刺激を受けた。

アンカーの中島が、ジャマイカとの激しい2位争いを制した。「先輩方がいい位置でつないでくれたので」。唯一の現役大学生。小学生からあこがれていた大舞台で「負けるわけがない」と強気の走りを見せた。

五輪を含め世界大会で過去4回メダルを獲得した400メートルリレーと比較すると、結果を残せず日の目を見る機会は少なかった。東京五輪では日本記録(3分0秒76=予選全体10位)に25年ぶりに並ぶなど上がり調子。ウォルシュは「この世代からマイルチームのレベルが変わると思うので、あとはみんな見届けて下さい」と力強い。日本時間25日の決勝で新たな扉を開く。【佐藤礼征】