男子1500メートル決勝は、栗村凌(福島・会津若松四中3年)が4分3秒23で2位に入った。スタート直後から集団の最後尾につけ、スパートの機会をうかがっていたが、仕掛けが遅く、最後の直線で驚異の追い上げを見せたものの優勝した渡辺敦紀(和歌山・岩出二中3年)とは0秒21差。悲願の「全中優勝」にはあと1歩及ばなかった。栗村はこの悔しい経験を糧に、さらなる飛躍を誓った。

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苦悶(くもん)の表情で栗村がフィニッシュした。「悔しさしかない…」。レース後、言葉を振り絞り、そう振り返った。1着とは0・21秒差。終盤の熾烈(しれつ)なスパート勝負に負け、惜しくも2位。タイムも予選(3分57秒18)を下回る4分3秒23。地元開催での日本一に、あと1歩届かなかった。

レースは理想のプラン通りではなかった。スタートで出遅れて序盤は最後尾。徐々に先頭集団と差が広がっていく。「焦りはなかった。ラストに自信があった」と話すも、本音は「最初の方は1番後ではなく、真ん中付近につけたかった」。普段通りのスタートで先頭につき、残り100メートルで突き放すプランを立てていた。スタート時の誤算が「全中優勝」への致命傷になった。

最後は執念だった。残り200メートルで怒濤(どとう)のスパート。最後の直線で1着とほぼ横並びとなるデッドヒートを演じた。「最後は負けてしまったけど、練習の成果は出せた」と大粒の汗をぬぐった。

次は新たな目標へと向かう。「あとちょっとのところで(日本一に)届かなかったのは、自分に甘さがあったから」と厳しく受け止め、「インターハイ(全国高校総体)の1500メートル、5000メートルで優勝したい」と目標を掲げた。この敗戦を糧にひと回りも二回りも大きく成長を遂げていく。【佐藤究】