区間賞でも5人抜きでも悔し涙があふれた。3000メートル日本中学記録保持者(8分11秒12秒)の福島・増子陽太(鏡石中3年)が、6区3キロを8分36秒で走り、県勢唯一の区間賞を獲得した。目標の区間新には届かず、福島は16位。宮城9位、秋田27位、岩手30位、青森44位、山形が45位だった。

5人抜きで区間賞を獲得した増子は、レース直後に悔し涙を流した。目指したのは区間新。長野・吉岡大翔(現佐久長聖3年)が20年にマークした区間記録8分22秒超えを狙った。8分15~20秒が設定タイムで、8分36秒という結果に「情けない中学最後のレースになってしまった」。今季はトラックで好成績を収めてきたが「『今大会は外しちゃったな』と悔しいのひと言に尽きます」。区間新以外は負けに等しかった。

いきなりの4人抜きで順調な滑り出しに見えたが、実際は違った。最初の1キロのタイムは2分49秒。「『けっこういいんじゃないか』とタイムを見たら、思っていたよりも誤差が大きかった」。得意のトラックでは400メートルごとにラップタイムを確認できるが、駅伝ではそれができず、設定よりも10秒近く遅れた。「レースの組み立てがずれ、がむしゃらに走ってしまった」と反省。「ロードへの苦手意識が出た」と語り、駅伝に合ったシューズ選びにも苦戦したという。

今季は「全中優勝」と「日本中学記録」を掲げ、その2つを達成した。昨年8月、3000メートルで8分15秒04をマークし、従来の中学記録を約3秒更新。同月の全日本中学校陸上競技選手権(全中)3000メートルでも優勝した。同10月の栃木国体少年男子B3000メートルでは8分11秒12と自身の記録を約4秒塗り替えた。さらに、納得はしていないものの初出場の都道府県対抗駅伝で区間賞を獲得。全国にその名をとどろかせた。

4月からは高校に進学する。安定感のある選手となり、「来年の都道府県駅伝でリベンジしたい」。スーパー中学生からスーパー高校生に進化し、広島に帰ってくる。【山田愛斗】

◆増子陽太(ましこ・ようた)2007年(平19)8月3日生まれ、福島県鏡石町出身。小学2年時にかがみいしスポーツクラブで陸上を始め、鏡石中3年時には全中3000メートルで優勝、栃木国体少年男子B3000メートルで3位。3000メートルの自己ベストは日本中学記録の8分11秒12。尊敬する選手は相沢晃。趣味は将棋。175センチ、52キロ。