武田姉妹にとって初のタスキリレーが都大路で実現した。15日に京都で行われた全国都道府県対抗女子駅伝で、宮城代表の武田千捺(22=ダイハツ)が6区区間6位、妹の莉奈(仙台育英3年)が7区同8位と力走。チームは10位で目標の8位以内に届かなかったが、2人で順位を5つ押し上げ、存在感を示した。

都道府県対抗駅伝が姉妹で初めてタスキをつないだ舞台となった。全国経験が豊富な姉千捺と全国デビューの妹莉奈。尾花沢中(山形)、仙台育英と同じ道を歩んできたが、4学年違いのため、これまで一緒のチームでタスキリレーはなかったという。

千捺 まさか同じメンバーでタスキをつなぐとは思ってなくて、本当は違う区間だと思っていたので、変な感じでした。姉妹でタスキをつなげるのは最初で最後ぐらいだと思って走りました。

莉奈 全国で走るのが初めてで、高校では最初で最後の(都道府県)駅伝だったので、都大路の舞台で走れたのはいい経験になりましたし、姉妹でつなぐという経験をさせてもらい、新鮮な気持ちで走れました。

宮城は入賞ラインの8位以内を目標に掲げていた。だが、前半区間で波に乗りきれず、6区・千捺は18位でスタート。「予想外の順位で焦りはありましたが、少しでも順位を上げようと前を追い、次が妹だったので、走りやすい位置で渡せるように」と区間6位、4人抜きの力走で14位まで浮上させた。中継所で「力まず、楽しんで」と莉奈に声をかけ、タスキを託した。

7区・莉奈は区間8位の走りで上々の全国デビューを飾った。「すごくスタート前は緊張していて、心臓が飛び出そうでしたが、(姉に)声をかけてもらい、少し気持ち的に余裕を持ってリラックスして、順位を上げるという強い気持ちで走りました」。13位で後続につなぎ、チームの巻き返しに貢献した。

莉奈は17年の全国高校駅伝で優勝メンバーとなった千捺に憧れ、仙台育英に進学した。2、3年時に同駅伝の登録メンバーに入るも、2年連続で出場はならず。同じ京都開催の都道府県対抗駅伝に対しては「大会前の練習から絶対に走りたい気持ちがあり、3年間の思いを走りにぶつける」と強い覚悟で臨んだ。

姉妹そろって土台づくりの1年にする。千捺は将来的なマラソン挑戦に向けて1万メートルなど長距離に力を入れていく意向で、莉奈は東北福祉大に進む。これからも切磋琢磨(せっさたくま)しながら陸上人生を歩む。【山田愛斗】