昨年の全国高校駅伝(都大路)で準優勝した名門の1年生が、存在感を示した。仙台育英C(1年生)が5区間17キロを55分30秒で駆け抜けて逆転優勝。同B(2年生)が2位、同A(3年生)が3位だった。都大路で8人の登録メンバーから惜しくも漏れた、1年生チームの松島夏希が、4区(4キロ)を13分7秒で走って区間賞。チームを首位に押し上げる力走を見せた。

1年生チームの松島が下克上Vを演出した。2キロ過ぎ、足の回転が速い、小刻みなピッチ走法で、2年生の鈴木瑠夏をかわして首位浮上。強風が吹き荒れる中での競り合いだったが「絶対に抜かして、1位で(5区・細川)あおいにつなごうという気持ちでした」。課題の後半も「いつもより上げられた」と手応えを示し、「『(チーム内で)優勝できたらめっちゃすごいね』と話していて、優勝できてうれしいです」。アンカー細川は2位の2年生チームに44秒差をつけ、ゴールテープを切った。

松島は全国高校駅伝の登録メンバー8人からギリギリで落選した「9番目」の選手だった。一方、同学年の長岡みさきは、3区で区間2位、細川は5区で同6位(日本人2位)と準優勝に貢献。「同じ学年で大きい舞台で走れて『すごいな』と思いながらも、やっぱり自分も同じところで走らないといけない」と刺激を受けた。ロード(駅伝)向きだが「今年は個人の成績をしっかり出し、実績を積んで、次は都大路に選ばれるようにしたい」。まずは自分と向き合い、トラックで好記録を狙う。

仙台育英のチーム内競争は全国屈指だ。1年時から主力の杉森心音主将(3年)は卒業するが、昨年の全国駅伝を走った1、2年生は4人残る。釜石慶太監督(35)は「新入生も過去一番ぐらいにいい選手が入ってくる。9人のうち6人は即戦力。その辺は楽しみですね」と現有戦力との融合を期待する。3月19日の伊那駅伝(長野)が新チーム初戦の予定。都大路で女王奪還を果たすために全員で高め合っていく。【山田愛斗】