秋田のスピードランナーが「三浦ロード」を歩む。昨年の全国高校総体で800メートル、1500メートルの2冠に輝き、栃木国体の少年男子共通800メートルも制した秋田工・大野聖登(3年)が、順大に進学する。同大エースで大学2年時に出場した東京オリンピック(五輪)3000メートル障害で7位入賞した三浦龍司(3年)が憧れの存在。来年のパリ五輪は先輩同様に「順大生オリンピアン」の肩書で出場を目指す。

順大に進学する大野の視線は、早くも世界に向いている。「パリ五輪を1500(メートル)で狙っていきたい」。同種目の自己ベストは全国高校総体でマークした3分44秒93。五輪の参加標準記録は3分33秒50に設定されており、11秒43のタイム更新が最低限必要になる。ハードルはかなり高い。それでも「(順大の)長門(俊介)監督のもとで練習をやっていけば絶対に強くなれる」。持ち味のスピードをさらに磨き、大きな成長曲線を描く。

憧れの三浦は大学2年時に出場した東京五輪3000メートル障害で7位に入り、日本記録(8分9秒92)を打ち立てた。大野もパリ五輪は同じ学年で迎える。「三浦龍司さんというすごい先輩の背中を追って、世界に羽ばたけるような選手になりたい」。夢舞台に立つ自身の姿をイメージする。

大学駅伝出場にも意欲を示す。5000メートルは13分56秒18と高校トップクラスの13分台を誇るが、高校時代は800メートルと1500メートルが専門の中距離ランナー。まずは大学で1500メートルと5000メートルを主戦場とし、10キロを超える長い距離には徐々にアジャストする。順大では「箱根駅伝に出たい」が本音。その上で「箱根の20キロは1年目で難しいと思うので、全日本とか出雲とか短い駅伝で出られるようにしたい」。冷静に足元を見つめる。

大学4年間は5000メートルで日本高校記録(13分22秒99)を持つ世代NO・1ランナー、佐久長聖(長野)・吉岡大翔(3年)と同期になる。昨年末に行われた新入生の合同合宿で顔を合わせ、驚かされた。「『やっぱり違うな』とレベルの差を感じたので、大学では練習でついていって、同じレベルで戦えるように頑張りたい」。最強同期に食らいつき、実力を伸ばす。

大野は憧れの三浦、同期の吉岡らトップ選手と競い合い、世界で戦えるランナーに進化を遂げる。【山田愛斗】

◆大野聖登(おおの・きよと)2004年(平16)8月31日生まれ、秋田県羽後町出身。羽後中1年時から本格的に陸上を始め、秋田工を経て4月に順大入学。昨年の全国高校総体で800メートル、1500メートル優勝。同年の栃木国体少年男子共通800メートルで優勝。自己ベストは800メートルが1分50秒04、1500メートルが3分44秒93、5000メートルが13分56秒18。167センチ、55キロ。血液型A。