<名古屋ウィメンズマラソン>◇12日◇バンテリンドームナゴヤ発着(42・195キロ)

21年東京オリンピック(五輪)代表の鈴木亜由子(31=日本郵政グループ)が地元愛知を初めて走り2時間21分52秒の自己ベストで日本勢トップの2位、前田穂南(26=天満屋)は2時間22分32秒とこちらも自己ベストを更新し3位、ともに24年パリ五輪代表選考会で今秋開催の「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」へ弾みをつけた。ルース・チェプンゲティッチ(28=ケニア)が2時間18分08秒で大会連覇を達成、優勝賞金25万ドル(3375万円)を手にした。

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優勝のチェプンゲチィッチがペースメーカーが遅いためにリズムが合わず最初から飛び出した。あそこにつければいいが、なかなか難しいもの。そこで五輪経験者2人が意地を見せた。

鈴木選手は前半は苦しそうだったが、25キロ過ぎからスイッチが入って、腕振りも足の動きも力強さが増した。ネガティブスピリットも後半のたまものだろう。昨年9月に高速レースのベルリンで自己記録を出して半年。多少のアップダウンがある名古屋で自己ベストを更新できるのは、さらに力がついたということだ。

前田選手はコロナ禍や足のけがなど苦しい中で自己ベスト。びっくりした。もともと持っている力がある選手。さらに所属の天満屋は練習がうまくいかなくてもジョグで長い距離を走るなどベースが養われている。これが強豪の力だろう。

ただ世界トップに近づくにはもう1歩が必要。最初の入りからで余裕をもっていけるか。MGCは勝負優先だが、パリ五輪を見据えれば、2時間19分台、20台に入ってほしい。世界と勝負するにはスピードか、距離か、のどちらかではなく、スピードと距離のどちらも必要だろう。(04年アテネ五輪金メダリスト)

【名古屋ウィメンズ】鈴木亜由子2位日本勢トップ、前田穂南3位 チェプンゲティッチ連覇/詳細