早稲田大(早大)勢が各種目で確かな存在感を放った。

3000メートル障害では、菖蒲敦司主将(4年)が8分47秒38で優勝し、諸富湧(3年)も8分55秒37で2位で続いた。男子対校5000メートルでは、石塚陽士(3年)が自己ベストとなる13分46秒31で制した。

まずは午後4時半過ぎに始まった3000メートル障害。上級生2人がトップを競い合った。レース前半を引っ張ったのは諸富。早々に先頭に立ち、堅調にペースを刻んだ。

2番手につけていた菖蒲は2000メートル手前で先頭へ。後続がペースダウンする中、ぐんぐん差を広げた。疲労を感じさせない快走を見せ、充実した表情でゴール。フィニッシュエリアでは、2着となった諸富と肩をたたき合いながらねぎらった。

場内インタビューには2人そろって登場した。菖蒲が「タイムは狙わず、ラスト1000メートルでどこまで上げて確実に優勝を取れるかを目標にやっていました」と笑顔を浮かべると、最後まで粘りを見せた諸富も「バックストレートがすごい応援で、本当に力になった。少しは見せ場を作れたのでよかったと思います」と目を細めた。

そこから約1時間半後。空も暗くなり、照明がトラックを照らす中、男子対校5000メートルに出陣した石塚も勢いに乗った。序盤から第二集団の前方につけると、残り800メートルほどとなったところでロングスパート。粘りきり、2位に約3秒差をつけてゴールした。

石塚はスパートを振り返り「出るまではキツイと思っていたんですけど、いざ1歩踏み出してみたら意外といけました」と大きくうなずいた。

昨年6月に就任した花田勝彦監督からは「1=1」という言葉を繰り返し伝えられてきた。あらためて、その式の意味を実感している。

「練習の力をそのまま試合でも出そうということなんですけど。その意識づけが、今までよりもかなりついてきたかなと思います。練習でも頑張ろうという雰囲気があります。少しずつ勢いづいて、良い相乗効果が生まれています」

目を見開き、身振り手振りを交えながら、にこやかに言い切った。

4月になり、いよいよトラックシーズンが本格化する。自らの足で、濃密な「1」を築き上げていく。【藤塚大輔】