スタートに磨きをかけたスプリンターが王者との再戦に燃える。国内外のトップ選手が集う「セイコーゴールデングランプリ(GGP)陸上2023横浜」(日刊スポーツ新聞社共催)が21日に日産スタジアムで行われる。男子100メートルには、日本歴代7位タイとなる自己ベスト10秒02の坂井隆一郎(25=大阪ガス)が出場。昨夏、初めて挑んだ世界選手権で同種目を9秒86で制したフレッド・カーリー(28=米国)との対戦を心待ちにしている。

忘れられない光景がある。「思っていたよりも早く追い抜かれました」。世界選手権準決勝。1レーン挟んで走るカーリーに対し、得意のスタートで差を広げようと試みたが、30メートルほどで抜き去られた。「そこまでは先行できると思ったんですが…」。10秒23の6着で敗退。「世界のトップレベルは違う」と痛感した。

ただ、手応えも得た。序盤は上回れたことで「スタートが通用すると確認できたことは大きかった」。課題のレース後半の克服ではなく、長所のスタートをさらに強化。低い姿勢で飛び出せるように昨季は出だしの3歩に重きを置いたが、今季は倍の6歩にこだわる。距離にして6メートルの差。「もともと3歩は地面に平行に出ていました。そのイメージを6歩までキープすれば、僕の走りは変わる」と力を込める。

その成果もあり、今季3戦目の木南記念(5月6日)では10秒12でV。セイコーGGPでのカーリーとの対決へ「どれほど差が縮まっているのか楽しみ」と高揚感を漂わせる。成長を示した先に、目標の9秒台が待っている。【藤塚大輔】

◆坂井隆一郎(さかい・りゅういちろう)1998年(平10)3月14日、大阪府豊中市生まれ。中1で陸上競技を始め大阪高、関大を経て20年に大阪ガス入社。22年6月の布勢スプリントで日本歴代7位タイの10秒02を記録。同7月の世界選手権男子100メートルで準決勝進出。同大会では男子100メートルのサニブラウン、走り幅跳びの橋岡と宿泊ホテルが同部屋だった。足の回転が速いピッチ走法が武器。

【セイコーゴールデングランプリ陸上2023横浜】

◆日時 5月21日(日)午後1時30分競技開始

◆会場 日産スタジアム

◆大会HP http://goldengrandprix-japan.com

<主催>日本陸上競技連盟<共催>朝日新聞社、日刊スポーツ新聞社<後援>TBSほか<特別協賛>セイコーグループ