21年東京オリンピック(五輪)8位入賞の田中希実(23=ニューバランス)が4分15秒19をマークし、1着でフィニッシュした。

4連覇が懸かる決勝では、8月の世界選手権(ブダペスト)の参加標準記録(4分3秒50)を突破し、3位以内に入れば、3大会連続の代表が内定する。「世界で通用する走りを見せたい」と見据えた。

スタートのピストル音が鳴ると、すっと前へ出た。先頭で中盤へ入り、後続との差を広げていく。最後までペースを刻み、そのまま逃げ切った。「リラックスして走ることができたのは、去年の予選と比べるとよかった部分」とうなずいた。

昨年の同選手権では800メートル、1500メートル、5000メートルに出場。4日間で3種目を走破した。

「去年はスケジュールをこなすことのほうが必死で、結果も出さないといけないということがあって、その2つで苦しかった」

昨夏の世界選手権でも3種目に出場したが、当時を「パフォーマンスになってしまっていた」と振り返ったこともあった。

今大会は1500メートル、5000メートルの2種目に絞った。「レース1つ1つに集中しやすい」と実感している。ただ、気の緩みはない。

「これでおごらずに、明日の決勝はいかに集中するかを、より感じるレースになった」

4連覇を狙う決勝は、世界選手権の代表切符も懸かる。順位やタイムが必要となるが、意識はずっと遠くにある。

「最初からハイペースにするか、どこかで仕掛けるかはまだ固まっていないが、どちらの種目も世界レベルの走りができるようにしたい」

何度も何度も「世界」という言葉を繰り返した。日本選手権はあくまで通過点。レースを楽しみながら、思い描く走りを体現する。【藤塚大輔】