21年東京オリンピック(五輪)女子1500メートル8位入賞の田中希実(23=ニューバランス)が、4分8秒29(速報値)で大会4連覇を果たした。同種目の4連覇以上は、10年まで5連覇した吉川美香以来、13年ぶり2人目の快挙となった。

世界の走りを意識し、残り800メートルから先頭に立つとぐんぐんと後続との差を広げた。残り400メートルからはスパートをかけて圧勝でゴール。8月の世界選手権(ブダペスト)の参加標準記録(4分3秒50)には届かなかったが、貫禄の走りを見せた。

試合後のインタビューでは手応えをつかんだ様子だった。「世界の(走りの)ロングスパートを見せられたらと思っていました。例年よりは速いタイムだったのでうれしい気持ちです。いまは根っこを伸ばしている状態。ハイペースの世界の走りのためスタミナをつけています。この結果は自信になりました」。

昨年の同選手権では800メートル、1500メートル、5000メートルに出場。4日間で3種目に出走したが「去年はスケジュールをこなすことに必死で。結果も出さないといけないとあって、その2つで苦しかった」と手いっぱいだった。

そこで今大会は出場種目を“厳選”。前回大会を制した1500メートルと5000メートルに絞った。1日の1500メートル予選では、昨年の同選手権と同タイムの4分15秒19をマーク。全体1位で決勝進出を決め「リラックスして走ることができたのは、去年の予選と比べるとよかった」と手応えを口にしていた。

種目数を絞る決断ができたのは、常に挑戦を続けてきたからこそ。その姿勢が変わることはない。予選後には、先を見据えた言葉を続けていた。

「最初に自分から行く(前へ出る)としんどいけど、その殻を破るのもまた世界陸上に向けての布石になる。自分の殻をどう破るか。ずっと同じチャレンジをしていても窮屈になる。いつもは順位やタイムに縛られてのびのびとした走りができていないけど、今回はいい意味で思い切ったレースをしたい」

4日には女子5000メートル決勝に臨む。「5000メートルもスタミナがあるところをみせたい」と初の2年連続2冠達成へ、突き進む。