日本記録保持者の福部真子(27=日本建設工業)は、無念の結果となった。

3位以内に入れば今夏の世界選手権(ブダペスト)に内定する大会。12秒99(向かい風1・2メートル)で4位となり涙に暮れた。

取材エリアでは、涙で目を赤くして「すごく遠く感じた。1番悪い内容だったかなと思う。(足が)さばききれない、(体が)浮いていた、修正がきかない、ぐちゃぐちゃな走りだった。全身の筋肉が緊張して、今まで感じたことのないものだった」と口にした。

テレビのエリアを抜けて、ミックスゾーンに入っても涙は止まらなかった。

「力不足だったと思います。プレッシャーに勝てなかった。勝負の前から震えが止まらず。落ち着かせよう、落ち着かせようと思ったけど、1番でゴールするイメージができなかった。集中しなきゃ、集中しなきゃと思ったけど、怖さが先に立って。初めてで対処の仕方がわからなかった」

フィニッシュはまれに見る大混戦だった。4位の福部は、会場内の大型画面で一時、1位と表示された。すぐに消えたが、大混戦のために、まだ確定していない判定途中の表示が映し出される“ミス”だった。

福部は「負けていたのはわかっていた。でも電光掲示を見て『えっ』という感じで…。寺田さんが前にいたし、なんでかなって。1番か、と思ったけど…。(直後の涙は誤表示による1位の)うれしさよりも緊張感がとけてホッとして涙が出た。それも含めてまだまだだと思った」と話した。

福部は、予選も準決勝も全体トップで通過。予選では1組4レーンに登場して12秒99(追い風0・4メートル)を記録。準決勝は2組7レーンで、12秒97(追い風0・4メートル)と雨の中でも12秒台でそろえていた。

参加標準記録の12秒78を唯一クリアしていたが、わずかな差で内定を逃した。「今シーズンが始まる前に、6月(の日本選手権)でしっかり仕上げなくても3番以内にはいれると思った時点で負けていたと思う。日本選手権までにここまでハイレベルになると想像していなくて。間に合うかな、間に合わないかなとやっているうちに疲弊したかもしれない」。その上で「来年じゃなくてよかったなと、この失敗を生かしてこそ私と思う」と、また涙声で決意を表明した。