陸上女子の田中希実(24=ニューバランス)が“超ハードスケジュール”にも屈せず、1年前の雪辱に挑む。
13日、25年に東京で開催される世界選手権へ向けた「TOKYO FORWARD 2025シンポジウム」(東京・都民ホール)に出席。欧米遠征から12日に帰国したばかりだが、14日には世界最高峰シリーズ・ダイヤモンドリーグ(DL)のファイナル(9月16、17日、米オレゴン州ユージン)へ向かう。「ファイナルなので順位が大事。出来るだけ上の順位を」と見据えた。
8月下旬の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)5000メートルで8位入賞した田中は、今月8日のDLブリュッセル大会同種目で14分29秒18の日本新記録を樹立。快走が続くが「まだ喜ぶ境地になっていない。この前の世界選手権もDLも、通過点ととらえていて、あまり喜びやうれしさはない」と慢心はない。
そんな中、欧米遠征から帰国した12日、急きょDLの年間王者を決めるファイナルへの出場が決まった。日本での滞在はたった1日だけ。明日には再び米国へ渡る。「練習する時間さえまともに取れていないので、今のコンディションがどうなっているのか分からない」と正直に打ち明ける。
ただ、日本新を打ち立てたブリュッセル大会でも、照準を合わせた調整はしないまま、好記録を残した。「今は考えすぎず、とにかく勢いに乗るしかない」と笑顔をみせる。
そのファイナルの開催地は、昨年7月の世界選手権と同じ米オレゴン州ユージン。昨夏は3種目に出場し、決勝進出は1種目のみに終わった。今季は何度もその経験を「トラウマ」と振り返っていたが、今は前を向く。
「自分でもちょっと怖い部分もありつつ、今の自分なら乗り越えられるかなと試すことができることにワクワクしている。どうなるか分からないけど、とにかく向かっていく決断ができた自分を信じて乗り込んでいきたい」
胸の高鳴りを、走りへ込めていく。