21年東京五輪銀メダルの池田向希(25=旭化成)が、今夏のパリ五輪代表に内定した。単独で1キロ3分50秒前後のハイペースを刻み、世界歴代3位の1時間16分51秒で優勝。派遣設定記録1時間19分30秒を大幅に上回り、最初の1枠を勝ち取った。女子は、21年東京五輪代表の藤井菜々子(24=エディオン)が、派遣設定記録1時間28分30秒を破る1時間27分59秒で制覇。五輪切符を獲得した。

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池田は両手を広げ、強く拳を握った。記録よりも順位にこだわる意気で臨んだレース。15年に鈴木雄介が打ち立てた世界記録1時間16分36秒に肉薄する好記録をマークし「内定できてうれしい。正直、ここまでの記録が出るとは思っていなかった」と声を弾ませた。

「最も熾烈(しれつ)」と呼ばれるレースは、潮風が吹く中でスタートした。序盤、先頭集団で歩き、集団のスピードが落ち始めた7キロ手前でペースアップ。予想に反して他の選手を振り切る展開となり、長い独り旅となったものの、終盤まで1キロ3分50秒前後のペースを維持した。2位に51秒差をつける完勝だった。

思い切った中盤手前でのペースアップが、勝利へのカギとなった。「自分がペースを上げれば周りが苦しくなる」と判断し、前を行く山西利和(28=愛知製鋼)の横に並ぶ。約1キロは隣り合って歩いたが「強気でいこう」と徐々に山西の前に出た。単独歩に踏み切ると「周囲を見て状況判断できるところが自分の強み」と分析していた通り、自らが有利な形に。「五輪も集団になると思う。ここでこの結果を残せたことは自信になった」とうなずいた。

目標の優勝&五輪切符獲得は達成。ただし、満足はしていない。「金メダルを目指しているので、ここはあくまでも通過点。パリ五輪で勝負していきたい」。

昨年の世界選手権ブダペスト大会では欧州選手のハイペースにのまれ、まさかの15位。1時間19分44秒にとどまっていた。反省点は「準備していたよりペースが速く、レース内の判断も良くなかった」。1年前の国際舞台で突きつけられた反省を生かし、重圧のかかる今大会でハイペースに耐え、レース中の判断も光った25歳。前回の銀メダル時には、モデル“みちょぱ”池田美優の「はとこ」として話題をさらったが、パリではそれを超える結果をつかみ取る。【竹本穂乃加】

◆池田向希(いけだ・こうき)1998年(平10)5月3日、静岡・浜松市生まれ。浜松積志中から浜松日体高を経て東洋大に進学。18年世界競歩チーム選手権シニア優勝、19年ユニバーシアード優勝。21年東京五輪銀メダル。22年世界選手権オレゴン(米国)大会銀メダル。好物は焼き肉。168センチ、53キロ。