来年のロンドン五輪を見据え、日本陸連の高野強化委員長は「つわものを結集して戦える精鋭メンバーを選んだ」と繰り返した。しかし花形の男子100メートルは誰も選ばれず、復活プロジェクトを立ち上げた跳躍は1人のみ。世界選手権の参加標準記録に届いた選手自体が少なく、初代表が約半分を占める布陣は苦戦必至の状況だ。

 昨年の広州アジア大会で低迷した男子トラック種目は110メートル障害の派遣もない。女子は短距離のエース福島が100メートルと200メートルに出場するだけで、100メートル障害と400メートルの代表を選べなかった。男子200メートル代表の高平は「人類最速を決める100メートルでボルト(ジャマイカ)に日本から挑戦者がいないのは…」と深刻に受け止めた。

 女子3000メートル障害の早狩と同ハンマー投げの綾は、アジア選手権優勝で参加標準記録A(A標準)突破と同等の扱いを受けて代表入りしたが、2人の記録はB標準にも届いていない。

 高野強化委員長は今大会の目標を問われると「前回のメダル2、入賞5を下回らない数字」と消極的な表現にとどめ、メダルを期待できる種目に女子マラソン、男子ハンマー投げ、同やり投げを挙げた。目立った新世代の台頭もなく、苦戦を覚悟しているようだ。