日本選手権50キロ競歩(4月15日、石川県輪島市)はこの種目のロンドン五輪最終選考会で、日本陸連が定めた基準記録の3時間51分59秒以内で優勝すれば代表に内定する。その最有力候補が北京五輪で50キロ競歩初の入賞を果たした山崎勇喜(28=自衛隊体育学校)だ。

 北京五輪翌年の09年に3時間40分12秒と自身4度めの日本新記録をマークしたところまではよかった。しかし、その後は太もも裏や右ひざなど故障を抱えるようになったことでフォームが乱れ、同年のベルリン世界陸上では歩型違反で失格した。

 10年秋以降はリハビリに専念。11年春にはコーチの鈴木従道氏が日大駅伝監督に転身。自身も所属先が変わるなど落ち着かなかった。

 しかし昨年10月の全日本競歩高畠大会で1年半ぶりに50キロ競歩に出場。3時間44分3秒のシーズン日本最高記録で優勝して復活をアピールした。

 今年2月には20キロの日本選手権に出場して7位。全盛時のスピードは戻っていないが、警告は1つも受けず、歩型に対する不安はなくなった。ひざも痛まなかった。

 昨夏の世界選手権6位入賞ですでに代表に内定している森岡紘一朗(27=富士通)や、五輪2大会連続代表の谷井孝行(29=佐川急便)らがライバルとなる。出場選手の顔触れから判断して、優勝すれば基準タイムを切るのは確実だろう。

 山崎は「輪島で優勝してオリンピックを決めたい」と意気込む。実現すれば自衛隊体育学校勢としては1964年東京五輪マラソン銅メダリスト、故円谷幸吉さん以来の陸上競技代表となる。

 トラック&フィールドも大学の対校戦などが始まる。有力選手はそこで足馴らしをして、4月後半に本格化するシーズンに向けて最終調整をしていく。そうした大会の1つが東京六大学対校(4月15日、東京)で、ロンドン五輪を狙う選手も出場する。

 一番の注目は男子やり投げのディーン元気(早大3年)だ。3月のアメリカ遠征で79メートル26と自己新をマークした。79メートル50の五輪B標準突破が期待される。男子100メートルの山縣亮太(慶大2年)は昨年10月の国体で10秒23をマークし、17年ぶりにジュニア日本記録を更新。五輪B標準も突破した。鋭いスタートダッシュは国際レベルと関係者が評価する選手だ。

 400メートルハードルで五輪A標準を破っている岸本鷹幸(法大4年)は、4×400メートルリレーへの出場か。昨年の世界陸上では準決勝に進出した。46秒を切るラップで走れば五輪本番への期待度がアップする。

 金栗記念選抜中長距離熊本大会(4月7日)は男女の1500メートルと5000メートルだけの実施だが、日本代表経験選手が多く出場する。男子5000メートルには北京五輪代表だった竹澤健介(25=エスビー食品)昨年の世界陸上1万メートル代表の佐藤悠基(25=日清食品グループ)1万メートルで五輪A標準を破っている宇賀地強(24=コニカミノルタ)と宮脇千博(20=トヨタ自動車)らがエントリー。日本選手権なみの豪華メンバーとなった。箱根駅伝2位の駒大からも9区区間賞の窪田忍(3年)ら3人が出場する。

 女子5000メートルには昨年の世界陸上代表の絹川愛(22=ミズノ)がエントリー。男子1500メートルには800メートル日本記録保持者の横田真人(24=富士通)が、女子1500メートルには同種目日本記録保持者の小林祐梨子(23=豊田自動織機)が出場する。※学生の学年は新学年【4月前半の主な陸上競技大会】4月7日:金栗記念選抜中長距離熊本大会(熊本・県総合運動公園陸上競技場)4月15日:日本選手権50キロ競歩(石川・輪島)4月15日:東京六大学(東京・国立競技場)