陸上の兵庫リレーカーニバルが、21から2日間、神戸ユニバー記念競技場で行われる。トラック&フィールドの本格的な幕開けとなる春季グランプリの第1戦。男女11種目が行われ、ロンドン五輪代表選考会にも指定されている。

 女子1万メートルが豪華メンバーになった。“トラックの女王”福士加代子(30=ワコール)こそ出場しないが、昨年の世界陸上に出場した絹川愛(22=ミズノ)と吉本ひかり(22=ヤマダ電機)が2年連続代表入りを狙う。“美白ランナー”として話題の西原加純(23=同)と、被災地の宮城県を拠点に頑張っている正井裕子(31=日本ケミコン)は注目度が高い。全盛時のスピードはないが、渋井陽子(33=三井住友海上)はこの種目の日本記録保持者だ。

 そこに“専門外”の2選手が参戦する。新谷仁美(24=佐倉アスリート倶楽部)は昨年の世界陸上5000メートルで決勝に進出した選手。距離を伸ばすことに消極的だったが、ついに1万メートルに本格参戦する。もうひとりは吉川美香(27=パナソニック)。1500メートルで日本選手権5回優勝を誇るスピードランナーだ。

 前半から飛ばすとしたら新谷だろう。ペースメーカーがつくが、その前を走る可能性もある。中盤のギアチェンジを得意とするのは絹川。昨年の日本選手権5000メートルでは新谷を一気に引き離した。そしてラスト勝負となったら、間違いなく吉川が強い。

 五輪A標準(31分45秒00)を破るような“好記録”と、白熱の“好勝負”と、どちらも期待できそうだ。

 男子1万メートルは期待の若手、宮脇千博(20=トヨタ自動車)が日本人1位候補。自身2度目のA標準(27分45秒00)で、五輪代表入りに弾みをつけたい。箱根駅伝1区で2年連続区間賞の大迫傑(20=早大)もロンドン五輪を狙う。1万メートルでも昨年のユニバーシアード金メダルと実績は十分ある。

 “山の神”柏原竜二(22=富士通)にとっては社会人第1戦。今シーズン前半は「五輪代表争いの舞台に上がりたい」と言う。持ちタイムでは苦しいが、気持ちの強い選手だけに“何か”を起こす可能性はある。

 このほかに五輪標準記録突破が期待できるのは、男女の走り高跳びと女子走り幅跳びの跳躍3種目。

 男子走り高跳びでは193センチと長身の戸辺直人(20=筑波大)が逸材と期待されている。2年前の世界ジュニア選手権銅メダリスト。2メートル28のB標準にバーを上げられるか。女子走り高跳びはママさんジャンパーの福本幸(35=甲南学園AC)が、初の五輪出場に執念を見せている。今月のオーストラリア遠征で1メートル86と順調なシーズンイン。B標準の1メートル92を射程内にとらえた。

 そして女子走り幅跳びは2回連続代表を狙う井村久美子(31=iDEAR)だけでなく、180センチと長身の岡山沙英子(30=山口TFC)、09年世界陸上代表だった桝見咲智子(27=九電工)と人材がそろった。B標準の6メートル65は誰が跳んでも不思議ではない。