陸上の織田幹雄記念国際が28日から2日間、広島広域公園陸上競技場(ビッグアーチ)で行われる。春季グランプリの第3戦として男女13種目が行われ、ロンドン五輪代表選考会にも指定されている。

 近年は男女の100メートルが看板種目になっている大会。女子では福島千里(23=北海道ハイテクAC)が2008年に当時の日本タイとなる11秒36を出して注目され、2010年には11秒21と現在の日本記録を樹立した。

 今年も福島が優勝候補。3月には世界室内選手権60メートル予選で7秒29の室内日本新をマーク。インフルエンザで準決勝を欠場したが、中村宏之監督は「今年はどこかで11秒1台は出る」と手応えを得た。福島のスタートから加速の速さは世界レベル。現在の日本では頭ひとつ抜け出た存在だ。

 高橋萌木子(23=富士通)市川華菜(21=中京大4年)渡辺真弓(28=東邦銀行)の3人が2位争いを繰り広げそう。11秒32の日本歴代2位を持つ高橋は昨年不調に苦しんだが、後半の強さが戻れば福島を追い上げる展開も期待できる。美人スプリンターとしても知られる市川は、追い風参考記録だったが昨年11秒28を今大会で出している。渡辺は昨秋11秒44の自己新と力をつけてきた。

 注目されるのは高校生の土井杏南(16=埼玉栄高2年)だ。福島に更新されたが、2月に室内60メートルで7秒40と室内日本タイを記録した。2位争いを制する可能性もある。

 男子100メートルではエースの江里口匡史(23=大阪ガス)がどんな記録を出すか。昨年前半は標準記録を切ることができず、個人種目での世界陸上出場を逃した。しかし秋に復調して10秒14と五輪A標準を突破。この冬も「全ての練習で昨年よりも充実した内容だった」と朝原宣治コーチをうならせた。3年前にビッグアーチで記録した10秒07の自己記録が更新も可能性十分だ。

 北京五輪400メートルリレー銅メダルの1走だった塚原直貴(26=富士通)、4月に10秒25と好スタートを切った山縣亮太(19=慶大2年)らが、どこまで江里口に迫るか。複数選手が10秒18のA標準を破る可能性もある。