陸上のダイヤモンドリーグ第4戦のプレフォンテインクラシックが6月2日、米オレゴン州ユージーンで行われる。

 ユージーンは長距離種目にも力を入れている大会。男子5000メートルには12分台の記録を持つ選手が8人も出場する。なかでも注目は世界記録(12分37秒35)保持者のケネニサ・ベケレ(29=エチオピア)と、昨年のテグ世界陸上優勝者のモー・ファラー(29=イギリス)の対決だ。

 2009年までは無敗の強さを誇ったベケレだが、2010年シーズンを故障で棒に振った。昨年復帰したが世界陸上10000メートルは途中棄権。まだ完全復調にはいたっていない。今年も上海大会5000メートルで5位と敗れた。

 一方のファラーにとってユージーン大会は、昨年10000メートルでヨーロッパ記録を出したゲンの良い大会。ソマリアからイギリスに帰化したこともあり遅咲きの印象があるが、今が旬の選手だ。

 ともにラスト勝負が得意なだけに、最後まで激しいレース展開となりそうだ。

 短距離種目はアメリカ勢が中心。100メートルにはジャスティン・ガトリン(30=アメリカ)、100メートルと200メートルにウォルター・ディックス(26=アメリカ)が出場する。

 ガトリンは2004年のアテネ五輪金メダリスト。ドーピング違反による4年間の出場資格停止期間を経て復帰した選手。5月のダイヤモンドリーグ・ドーハ大会でアサファ・パウエル(29=ジャマイカ)に競り勝った。ディックスは昨年のテグ世界陸上で100メートル、200メートルとも2位。アメリカのエース的存在に成長した。

 ユージーン大会にウサイン・ボルト(25)らジャマイカの主力選手は出場しないが、彼らに対抗できる記録を出しておきたい。

 男子400メートルの北京五輪金メダリストのラショーン・メリット(25=アメリカ)と、昨年のテグ世界陸上を18歳で制したキラニ・ジェームズ(19=グレナダ)の対決も注目の的。

 男子三段跳びのクリスチャン・テイラー(21=アメリカ)、男子やり投げのマティアス・デ・ゾルド(24=ドイツ)、女子400メートルのアマントル・モントショー(28=ボツワナ)ら、昨年の世界陸上優勝者も多数参加する。

 若手では男子800メートルのモハメッド・アマン(18・エチオピア)が注目されている。昨年、世界記録保持者のデービッド・ルディシャ(23=ケニア)の連勝を“26”でストップさせた選手。今季もルディシャに次いで2012年世界2位の1分43秒51をマークしている。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が揃う中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。