陸上のダイヤモンドリーグ第12戦のバーミンガム・グランプリが8月26日、英国第2の都市バーミンガムで開催される。ロンドン五輪金メダリスト12人が出場。舞台を北部のバーミンガムに移し、ロンドン五輪の熱戦が再現される。

 ロンドン五輪では地元英国勢が大活躍。陸上競技の金メダル4個は米国、ロシアに続く3番目の数だった(ジャマイカも同数の4個)。

 躍進英国を象徴するのが男子5000メートルと1万メートルの2種目を制したモー・ファラー(29)で、今大会では2マイルに出場する(2マイルはメートルに換算すると約3218メートルで国際大会では行われていない種目)。ライバル選手は不在でファラーの独壇場になりそう。五輪で見せたように残り1周の鐘を聞いてからの猛スパートで地元の観衆を沸かせそうだ。

 男子走り幅跳びには金メダリストのグレッグ・ラザフォード(25=英国)が出場する。この種目には銀メダルのミッチェル・ワット(24=オーストラリア)、銅メダルのウィル・クレイ(21=米国)も参戦。五輪では15センチと2位に予想以上の差をつけたラザフォードだが、ミッチェルも跳躍関係者の評価が高い選手で楽に勝てるとは限らない。

 記録的な期待が高いのは男子110メートル障害のアリエス・メリット(27=米国)だ。ダイヤモンドリーグ前戦のローザンヌ大会(23日)ではフライング失格という失態を演じたが、6~7月に12秒93を3試合連続でマークし、ロンドン五輪優勝時は向かい風のなかで12秒92だった。12秒87の世界記録も十分に狙える。

 男子走り高跳びでは21世紀初の2メートル40台が生まれるかもしれない。ローザンヌ大会では優勝したムタズ・エサ・バルシム(21=カタール)が2メートル39をマーク。2位のイワン・ウホフ(26=ロシア)と3位のロバート・グレーバーズ(24=英国)も2メートル37というハイレベルの戦いだった。

 勢いがあるのはバルシムで、今季前半のケガから復帰してきた。ロンドン五輪は2メートル29で銅メダルだったが、ローザンヌでは28年ぶりのアジアタイ記録をマークした。だが、今季の安定度では2メートル37以上を4試合で跳んでいるウホフが一番だ。ロンドン五輪も2メートル38で制している。グレーバーズも自己記録を今季9センチも更新した成長株で、ホームの利を生かして大台をクリアしたい。

 女子100メートルも注目度が高い。ローザンヌではロンドン五輪金メダリストのシェリーアン・フレーザープライス(25=ジャマイカ)が得意のスタートダッシュでリードしたが、銀メダルのカーメリタ・ジーター(32=米国)が猛追。10秒86の同タイムながらジーターが先着した。バーミンガムでもそれぞれの持ち味を生かした戦いが期待できる。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、米国勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。